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2012年11月23日記


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ポスト習近平へ団派着々 中国

40代の胡春華、孫政才両氏

国務院は団派、全人代は江派に

 
中国共産党は11月15日、習近平国家副主席が総書記と軍トップである党軍事委員会主席を兼務する新体制をスタートさせた。最高指導部である政治局常務委員会は習氏を含む7人のうち江沢民前国家主席に近い保守派が多数を占めた。その一方で、既にポスト習近平をにらみ、政治局委員の最若年である胡春華内モンゴル自治区党委書記、孫政才吉林省党委書記の1960年代生まれが脚光を浴び、完全引退した胡錦濤前総書記を中心とする共産主義青年団派(団派)が着実に主流派になりつつある。(深川耕治=2012年11月23日記)

保守派強く対日強硬路線も

 「(党の)理想信念がなければ背骨のない軟骨病と同じだ。物が腐れば、後で虫が湧いてくる」

 11月17日、習近平総書記は就任後初の政治局集団学習会でこう切り出した。

 党除籍処分となった薄煕来前重慶市党委書記の腐敗事件に暗に触れながら汚職の深刻化が進むと「亡党亡国に陥る」と危機感を露(あら)わにした。

 習体制の最終人選は激しい権力闘争の末に収まった妥協の産物だ。

 胡錦濤国家主席の出身母体である団派と江沢民派、そして習氏率いる太子党の三つどもえで展開され、最終段階ぎりぎりで江派が押し切った。8月の北戴河会議で政治局常務委員の候補に挙がっていた胡錦濤派の李源潮党中央組織部長や汪洋広東省党委書記、劉延東氏の名前が消え、江派の張徳江氏、張高麗氏、江派に近い兪正声氏や劉雲山氏が入る布陣となった。

 胡錦濤体制だった過去10年、北京の政治中枢である中南海に執務室を置いて重要決定事項や人事にも干渉し続けた江沢民前国家主席による「権力二重構造」は、江沢民派だった陳良宇元上海市党委書記が社会保険基金事件で2006年に拘束され、江氏と良好な関係だった薄氏が汚職で政治生命を絶たれるなど党幹部の腐敗は拡大し、歯止めが利かなくなってきている。

 胡錦濤国家主席は「裸退(中国語で完全引退)」することで江氏が故●(=登におおざと)小平氏をまねた院政の悪習に終止符を打ち、5年後の政治局常務委員会人事で自派を多数取り込むという、したたかな思惑がある。今回、政治局常務委メンバーで胡錦濤派は李克強副首相のみだ。他の新任の政治局常務委員5人は全て1940年代生まれで5年後の党大会では68歳定年に抵触し、引退する見込み。中央軍事委主席まで引退して江氏を道連れにしたのは、5年後の布石だ。

 現状では李克強氏が来年3月の全人代で首相に就任することで国務院は団派が掌握し、張徳江氏が全人代常務委員長になれば全人代は江派が牛耳ることになる。政治局常務委メンバー全体が江派に近いベテランの保守的色彩が強いため、尖閣諸島の領有権をめぐる対日関係は当分、強硬姿勢が続きそうだ。

 今回、政治局の新委員となった最年少が胡春華氏と孫政才氏で、いずれも49歳。ポスト習近平を担う革命第6世代リーダー候補の筆頭として注目を浴びている。

 胡春華氏は胡錦濤氏と同様、党の青年組織である共産主義青年団のトップ、第1書記を務め、「ミニ胡錦濤」と呼ばれている実務派だ。広東省党委書記への就任が見込まれている。同世代の孫政才氏は農業の専門家で農業省といわれる吉林省党委書記として手腕を発揮。重慶市党委書記への就任となる。

 紅一点の孫春蘭福建省党委書記は呉儀元国務委員と同じく「鉄の女」と評され、天津市党委書記に就任することが決定している。女性が直轄市のトップに就任するのは中国史上初めて。

 5年後の政治局常務委入りに再起を懸けるのは、政治局委員に留任した胡錦濤派の李源潮氏、汪洋氏だ。今後、人事異動となり、実績を積むことで常務委入りの可能性が残されている。

 ポスト習を目指す第6世代のニューリーダーは団派が優勢で、胡国家主席が総書記と党軍事委主席を引退し、院政の暗黙の慣例を打破した5年後に派閥力がピークになりそうだ。

【中国共産党政治局および書記処の派閥分布】

<太子党

習近平(総書記、国家主席、軍事委主席)

兪正声(政協主席)

王岐山(中央紀律委書記)

馬凱(工業担当副首相)

粟戦書(中央弁公室主任)

<江沢民派

張徳江(全人代委員長)

劉雲山(書記処書記、中央党校長)

張高麗(常務副首相)

孟建柱(副首相、中央政法委書記)

王滬寧(国務委員)

韓正(上海市党委書記)

杜青林(全国政協副主席)

趙洪祝(中央紀律委副書記)

<胡錦濤派(団派)

李克強(首相)

李源潮(国家副主席)

劉延東(副首相)

汪洋(副首相)

劉奇葆(中央宣伝部長)

趙楽際(中央組織部長)

郭金龍(北京市党委書記)

胡春華(広東省党委書記)

<軍代表

範長龍(中央軍事委副主席)

許其亮(中央軍事委副主席)

<その他

李建国(全人代第1副委員長)

孫春蘭(天津市党委書記)

孫政才(重慶市党委書記)

張春賢(新疆ウイグル自治区党委書記)

楊晶(民族・宗教担当書記処書記)

※カッコ内は現職あるいは今後に就任する可能性が高いポスト