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2004年6月16日記

中国での音楽ショー中止に追い込まれた台湾の人気歌手、張恵妹(通称アーメイ)さん



 ことの発端は四年前(二〇〇〇年五月)の陳水扁総統就任式で「中華民国国歌」を一度きり独唱したことだった。

 十二日、中国浙江省杭州市で台湾系カップ麺会社が企画した音楽ショーで出演する予定だったが、“愛国主義”を振りかざす中国の学生ら約百人が「台湾独立支持者は歓迎しない」などの横断幕を掲げて抗議、ファンとにらみ合いになった。

 独立志向が強いとされる陳総統が再選したことで、中国内のネット掲示板上では「緑色芸人(民進党カラーの緑を指示する独立派の芸能人)」リストの筆頭に挙げられる嫌がらせを受け、万が一の事態を憂慮する地元警察当局がショーの取りやめを促し、急きょイベント自体が中止に迫られた。

 十三日、台北国際空港にもどった本人は「私はただの歌手。わざわざ集まってくれたファンの皆さんに申し訳ない」と短くコメント。四年前の国家斉唱で中国政府ににらまれ、中国大陸で放送される本人採用のコカコーラ社テレビCMは一夜にして放送中止になり、広告看板も取り外された。一時は中国公演が禁止されたが、その後は解禁され、中国大陸でも熱狂的なファンを持つ本人は中国各地のコンサートに精力的だっただけに突然のトラブルに無念さも大きい。

 七月三十一日に予定されている北京でのコンサートも、ネット上で再び阻止を呼びかける学生らの動きが強まっており、中止を余儀なくされそうだ。

一九七二年、台湾の台東市郊外の山村で原住民族ピュマ族(約五千人)として生まれ、専門学校卒業後、病中の父の勧めで台湾のテレビ局主催のコンテストに参加して芸能界入り。アップテンポの民族風ダンスミュージックに独特のソウルフルな声を乗せて歌い、デビュー曲「姉妹」やセカンドアルバム「BadBoy」が大ヒットし、中国大陸にも熱狂的なファンが多い。三十一歳。