話題の人登場

2006年3月16日記(深川耕治)

中国全国政協会議を欠席して物議を醸した女優のコン・リーさん

 三月三日から十四日まで開かれた政策提言機関、中国人民政治協商会議(政協)に文化・芸能人枠で選出された政協委員として参加すべき立場だったが、本業の女優業や映画発表記者会見を優先して二年連続欠席した。

 全国政協委員二千二百八十人のうち、今会議に欠席したのは百二十六人。その中には映画監督の張芸謀(チャン・イーモウ)氏ら芸能界の有名人七人が含まれていた。中国では大女優の域に達している本人は、政協の会期中、犯罪シンジケートのリーダーの妻役で出演する一九八〇年代の米国人気TVシリーズ「マイアミ・バイス」映画版の吹き替えを米国で行ったり、北京で行われた張芸謀監督の映画「満城盡帯黄金甲」クランクイン記者会見に出席。そこには張芸謀監督や共演する香港の男優、周潤発(チョウ・ユンファ)も壇上に立った。

 「北京に戻って二週間。周潤発さんと演技ができて夢のようで、役柄も今までと違って一分ごとにそのことを実感する」と話し、政協の話題は一切出ない。

 北京で本業の記者会見には出席しても、政協委員に選出されながらも欠席を続けていることにネット上では 「二度と政協など政治活動に参加しないよう呼び掛けよう」など厳し い書き込みが続いている。一方で、政協の会議では、出席した芸能人の意見を大きく取り入れるようなケースは少なく、長時間、堅苦しい内容にじっと耳を傾け続けるのが苦痛との声も。

 マルクス主義、毛沢東思想によれば、文芸は人民に奉仕し、社会主義に奉仕すべきもの。以前ならば女優業優先の同行為は「走資派」と非難されるべきだろうが、全国政協だけでなく、地方の政協でも有名オリンピック選手などが政協委員に選出されても平気で同様の欠席行為が連続して行われているのが実情だ。

 遼寧省瀋陽市出身。北京中央戯劇学院演劇学科在学中、張芸謀監督に見いだされ、一九八七年、映画「紅いコーリャン」で女優デビュー。九二年、「秋菊の物語」でベネチア映画祭最優秀主演女優賞を受賞し、九九年、「きれいなおかあさん」でフランス文化勲章を授与された。二〇〇五年公開の「SAYURI」にも出演している。両親は大学教授。五人兄弟(兄三人、姉一人)の末っ子。一九九六年、香港在住のシンガポール人、黄和祥氏と結婚。四十歳。

 来年九月にクランクインするハンニバル・レクター・シリーズの続編「ビハインド・ザ・マスク」(原題)では、主人公に洗練された教養を教える日本人女性レディ・ムラサキに扮(ふん)する予定。