香港企画記事速報
2007年10月8日記


民主化デモ、5千人参加で苦戦 香港
陳方氏、民主派の非難受け多難


 香港で十月七日、直接選挙の早期実現を求める民主化要求デモが行われたが、目標の約半数(五千五百八十人=主催者発表)しか集まらず、民主派の苦戦が続いている。十二月二日の立法会(議会)補欠選挙に民主派の後押しを受けて出馬する陳方安生(アンソン・チャン)元政務官(67)はデモ行進開始から約二十分だけ参加後、美容室に行ったことで民主派内からも不満の声が上がり、やや劣勢だった親中派候補は巻き返しに手応えを感じる展開だ。(深川耕治=07年10月8日記)

 七日、民主派は二〇一二年の行政長官選挙、立法会議員選挙での完全普通選挙実施を求め、香港島中心部のビクトリア公園に集まり、黄と青の傘一万八十本を参加者のために用意し「二〇一二」の傘文字を演出する予定だった。だが、参加者が目標の約半数しか集まらず、数字部分の黄色は整っても、背景色の青が不十分な形で民主派の勢いが衰退していることが歴然としてしまった。

 香港ナンバー2の政務官を二〇〇一年まで務めた「香港の良心」と欧米メディアから評されるチャン氏も傘を開く活動に参加し、香港政府庁舎のあるビルに向かうデモ行進に参加したが、行進開始後、わずか二十分で隊列を離れて美容室に行き、デモ参加を最後まで続けなかった。

 チャン氏は当日の行動について「当日夜の個人的なパーティ参加準備に必要だった。香港は言論の自由がある社会なので讃える人、非難する人があっても自然の成り行き」と批判を甘受する一方、「愚の骨頂で傲慢無礼な行為であり、民主派の多くの基本票を失うことになるだろう」(香港中文大学政治行政学系の蔡子強高級指導員)、「相当な理由もなく美容室に行ったことは支持者からの好印象は得られがたい」(湯家●立法会議員)などの厳しい批判が噴出し、民主化デモに参加した人々の間からも不満の声が上がった。

 主催者側は参加目標一万八十人に対し、集合場所での傘の活動に五千五百八十人(警察推定四千四百人)、デモ行進に七千人(警察推定四千六百人)が参加したと発表。いずれにしても目標を大きく下回る参加者数で〇三年、〇四年の新型肺炎(SARS)後の民主化要求デモで五十万人以上が参加した時期に比べて盛り上がりに欠け、民主派への追い風は吹かず、十一月の区議会選、十二月の立法会補欠選、来年の立法会議員選での苦戦が続きそうだ。

 立法会補欠選挙(香港島区)は、親中派政党・民主建港連盟(民建連)の馬力主席(立法会議員)が八月に死去したことに伴い、十二月二日投開票が決まり、九月十一日、チャン氏は民主派の後押しを受けながら無所属の立場で出馬を表明。続いて同月末、葉劉淑儀(レジーナ・イップ)・元保安局長(57)が民建連などの支持を得て立候補を表明し、元女性高官同士の事実上の一騎打ちが確定して香港政治史上でも珍しい親中派と民主派の激しい選挙戦が予想され、注目を集めている。

 葉氏は〇三年七月、五十万人の民主化デモの要因となった国家保安条例の責任者で、法案への市民の猛反発で引責辞任。米国留学後、香港にもどり、独自のシンクタンクを設立し、親中派や経済界などから支持を集めていた。葉氏は国家保安条例の条例化について「何のやましい心もない」と個人的な思惑がなかったことを強弁しており、チャン氏の今回の行動については「別の処理方法があったのではないか」と話し、政策論をめぐる早期の公開討論実現を求めている。

●=馬ヘンに華