中国企画記事 特選

2004年7月28日記

江沢民氏、軍事強硬路線をトーンダウン 中国
胡錦濤派との駆け引き見え隠れ
 国営新華社通信の週刊誌「瞭望東方週刊」(最新号)は中国の軍トップに君臨する江沢民中央軍事委員会主席(写真右)の講話内容として、「中国の国防力、とりわけ海軍は陸空軍との連携を強化して情報戦を制するため、盲目的な軍拡競争に巻き込まれてはならない」と軍事強硬路線をトーンダウンさせる発言をしていることを報じた。

 同誌は、湾岸戦争以降、情報技術の発展が新たな軍事革命を引き起こし、「機械化された戦争形態から情報技術戦に変化し、イラク戦争で情報戦の重要性が際だった」とした上で、機械化とハイテク情報化が歴史的任務であることを強調。江氏の講話内容を引用し、「中国は先進国並みに国防を強化できないが、低コスト高効率を目指して中国の特色ある国防と軍隊現代化の道を進むべきだ。中国海軍は機械化と情報化の複合発展の中で国情を顧みない盲目的な軍拡競争に巻き込まれてはならず、経済発展のためにある程度軍事力を抑制すべきだ」と述べている部分を紹介している。

 今月に入って陸海空軍の三軍合同軍事演習が福建省東山島で行われ、台湾軍も軍事演習「漢光二〇号」を続けることで台湾海峡の軍事緊張が高まる中、中国の中央軍事委内部では主戦派と反戦派に分かれ、江氏は「台湾海峡での一戦が必要になってきた」、「二〇二〇年より前までに台湾問題を解決すべきだ」と発言し、軍部の求心力アップを図っていた。

 一方、胡錦濤党総書記(中央軍事委副主席)は二十四日、党中央政治局の学習会の席上、「経済発展の基礎の上で国防建設を推進し、小康社会(ある程度の豊かな生活ができる社会)の実現を保証・促進しなければならない」と話し、平和外交重視の国家戦略を重視する姿勢を示した。江氏が台湾武力侵攻準備を通して軍部の志気を意図的に鼓舞する手法に対し、一定のブレーキをかける発言をして江派と胡錦濤派のせめぎ合いが浮き彫りになっていた。

 今回の江氏の発言は胡総書記が軍内外の軍事強硬路線に反発する民意を先取りする言動で軍内部の主導権を奪取することへの懸念とけん制と見られる。(04年7月28日記、深川耕治)