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2004年7月25日記(深川耕治)

親中派の主導権維持をめざす
范徐麗泰(リタ・ファン)香港立法会主席(議長)
 香港の婦女連合会(親中派団体)幹部の中で怜悧(れいり)な「切れ者」のイメージを持ち、人を寄せ付けない雰囲気があったリタ・ファン(英語名)は家族(写真下)の闘病生活で生活が一変した。

 一九九五年、当時十七歳の長女が急性腎不全で生死の境をさまよい、自分の左腎部分を摘出して長女に移植した。次は〇一年、自身の乳ガンで左乳房の一部を切除。そして、今回、九月十二日投開票の香港立法会議員選挙(定数六〇)の直接選挙枠(三〇議席)で香港島区から無所属の立場で再選をめざして立候補を表明した際、夫・范尚徳氏が頚部のリンパ腫を持ち、肝臓病を患っていることを明らかにした。

 長女の病気治療の時、「毎日生きることに意義があり、積極的に人を助け、喜びを与えることこそ喜び」と悟った。自身の乳ガンとの闘いでも、多忙を理由に健康管理を怠ってきた日々を悔い、食生活を改善、一日最低二十分間の運動を欠かさなくなった。

 健康に関するイベントには積極的に参加し、自身の選挙区である香港島区では住民に無料の健康チェック検査が受けられるよう行政サービスを改善。乳ガンの闘病患者を積極的に励ますなど、自身の闘病体験は福利厚生の充実を訴える親中派の政策と合致させ、選挙戦略は民主派に劣らず上手だ。

 二十三日、連立与党の民建聯、自由党と共に打ち出した政策綱領は二〇一二年の行政長官及び立法会選挙の完全普通選挙実現。しかも〇七年の行政長官選挙では従来の間接選挙での選挙委員会委員の数を八百人から一千六百人に増やし、〇八年の立法会選挙では直接選挙枠と間接選挙枠を各五人増にして定数を七十議席に増やすという画期的な改革案を打ち出した。とくに二〇一二年の完全普通選挙実施については政策綱領を打ち出す直前から本人が主張し始め、中央政府へのパイプ役としての面目躍如を狙った。

 民主派はあくまで〇七年の行政長官選挙と〇八年の立法会選挙の完全普通選挙実現を主張しているが、与党案についてはあえて批判しないスタンス。民主化の“お株”を突然の与党案で出し抜かれそうな雲行きだ。

 香港大学卒のエリートで英領時代の立法局議員、教育委員会主席、行政局議員などを経て臨時立法会主席(議長)、返還後の第一期と第二期の立法会主席(議長)を歴任。九八年以降、中国の全国人民代表大会香港代表となり、インテリ親中派女性議員の代表格となっている。一男一女を持つ上海生まれの五十八歳。(2004年7月25日=深川耕治記)