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2004年9月5日記(深川耕治)

香港での北京五輪一部主催を認めることを示唆した
劉淇北京市党委員会書記
 香港は9月12日、政界再編の命運をかけた立法会議員選挙が控えているというのに、アテネ五輪の中国人金メダリストらが香港入りして大騒ぎ。五輪熱が冷めやらない。「愛国愛香港」のムードを盛り上げることで親中派の候補者へ追い風が吹くとの中央政府のしたたかな計算が働いているかに見えるが、その“画策”の中心人物としてムードを盛り上げたのが北京市指導者トップで北京五輪組織委員会長のこの人である。

 中国のアテネ五輪代表選手団六十八人が9月6日から9日まで香港に滞在する一足先に、アテネ五輪閉幕式で五輪旗を引き継いだ北京市ナンバー2の王岐山北京市長らと一日、香港入りし、香港財界人らに北京五輪への投資協力などを呼びかけた。

 9月2日と3日の両日開かれた「第八回北京・香港経済協力シンポジウム」では、香港財界人に対し、優遇政策となっている北京五輪スタジアムなど百三十項目約一千八百億元(二兆三千四百億円)分の総投資額のインフラ建設プロジェクトでの協力要請を求めた。

香港の董建華行政長官は劉氏に対して08年の北京五輪で一、二種目競技の香港での主催ができるよう要請、これに対して「北京五輪組織委員会ではこの点について決定権がない。ただし、香港での一部主催は不可能なことではない」と述べ、香港の五輪共催要請を受け入れる姿勢を示唆した。

香港での主催競技候補に挙がっているのは馬術。だが、北京ではすでに十一億元(百四十三億円)をかけて北京郊外に競馬場を建設する計画が準備されており、香港での共催が実現可能か微妙な状況だ。

 香港は〇一年七月、〇八年の五輪開催地が北京に決まった後、北京市に対してヨットやカヌー、サッカー競技などの予選開催などを打診要請したが、劉敬民北京副市長が否決したことを明らかにした。現時点で北京五輪の際、競技会場に決定しているのは上海、天津、瀋陽、秦皇島の四カ所のみ。もしも、国際オリンピック委員会がこれ以外の都市を競技会場として特別に認めるケースが出てくれば、香港での一部開催の望みは出てくる。この辺の交渉力が問われるのが北京五輪組織委員会長である劉氏の手腕ということになる。

 江蘇省武進出身。北京鋼鉄学院(現在の北京科技大学)冶金科大学院卒。高級エンジニア出身で、〇二年、中央政治局委員、北京市党委員会書記に就任。61歳。(04年9月5日記、深川耕治)