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2010年6月29日記 最新中国株情報 WINTRADE


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「黒社会」一掃の後は景観整備 重慶
北京、上海に並ぶ整備事業へ
広告乱立を排除、屋台撤去も

 
中国西南部の大都市、重慶では市トップの薄煕来重慶市党委書記の大号令で昨夏から黒社会(暴力団)の徹底取り締まりを行い、暴力団幹部や市公安幹部、市人民代表大会代表(市議)ら1500人以上を逮捕し、市民の喝采を浴びた。薄氏は市民生活に関わる景観整備に着手し、3〜5年後には北京や上海に匹敵する美観の大都市に変貌させる意欲満々で中国の次期指導部の一角に入る実績づくりを重ねている。(重慶・深川耕治、写真も=2010年6月10日記)

政治局常務委入りへ実績着々 薄煕来氏
低所得層の商売脅かす不安増


2007年7月1日、香港返還10周年で第四回CEPA経済貿易協定の調印式に出席して曽蔭権(ドナルド・ツァン)香港行政長官と握手する薄煕来中国商務相(当時=中央)=深川耕治撮影
 薄党委書記は3月末の市議会で「重慶の景観のあり方に大いに不満」と強く訴え、景観に関する責任部署の官僚を総入れ替えし、景観整備を強力に推進する新たな指針を打ち出した。

 薄氏は故・薄一波元副首相の三男で太子党(党幹部子弟)。大連市長や遼寧省長を歴任し、2007年、商務相から重慶市トップに就任。孟建柱公安相との信頼関係があることで暴力団の腐敗徹底追放の後ろ盾を得て大きな成果を得た。重慶の景観整備は薄氏の都市改革第二幕だ。

 薄煕来氏が陣頭指揮を執った昨年6月から2ヶ月間にわたる「平安重慶」と呼ばれる暴力団徹底取り締まりキャンペーンでは、暴力団の陰のボスと言われていた文強市司法局長や地元大手企業である陳明亮江州実業集団会長、黎強市人民代表大会代表らを逮捕。麻薬密売、地下カジノ賭博、売春斡旋など市公安幹部と暴力団が癒着して数十年続いてきた根深い犯罪ネットワークがあぶり出された。

重慶市中心部の解放碑付近。違法広告看板が撤去されすっきりした美観になっている=深川耕治撮影
 薄氏は同時に紅歌(毛沢東時代の革命歌)を公共の場で歌うことを奨励。重慶の人々は麻雀(マージャン)やトランプの賭博好きで熱しやすく冷めやすい傾向にある。打黒(黒社会勢力の一掃)のために市内各地で紅歌の歌唱大会を開き、毛沢東の詩や世界各国の故事名言を紹介する月刊誌を出版して市民の倫理基準を高め、中国共産党の革命歌を老若男女が歌う新たな文化運動を展開することで党と政府が黒社会を断固として排除する啓蒙と気概を示した。

 2008年、重慶大学のキャンパスには巨大な毛沢東像が建てられ、小中学生が学校の行事で紅歌を歌い、商店街でも黒社会の息がかかった商店前で市民が紅歌を合唱し、市政府と協力して黒社会一掃ムードを盛り上げるなど、党の優位性を強調する対策が功を奏している。

 清華大学公共管理学院の崔之元教授は「黒社会一掃は重慶のマイナス要因を埋める作業。中国の大都市が抱える格差是正に向け、重慶は自由社会主義を試す実験地となっている」と分析する。

重慶市大礼堂前の広場は市民の憩いの場=深川耕治撮影
 四川省に属していた重慶は1997年、直轄市に昇格。今年、中央政府から国家五大中心都市の一つに認定された。北京、天津、上海に次いで中国4番目の直轄市になった重慶は三峡ダム工事で約100万人の移民が必要となり、直轄市となった優遇措置と引き替えに市内エリアが北海道よりも広い面積に拡大し、多くの貧農を抱えて都市部と農村部の格差が激しい。

 薄氏は自ら市長を経験した大連をモデルに中心部を大改造し、景観整備と農民を都市に吸収する工業団地を建設計画。銀杏やクスノキによる緑化を推進し、巨大な広場を中心に新都市形成する動きを加速化している。年内に1770億元(1元=14円)を投入して整備事業を進め、「3〜5年以内に北京、天津、上海に匹敵する都市づくりを目指す」としている。

2008年、重慶大学に建てられた巨大な毛沢東像=深川耕治撮影
 4月から黒社会の資金源と言われてきた市内にある2万4000もの違法広告看板をわずか20日間で撤去。商店街も統一された規格のテナント経営に替え、伝統的な屋台や新聞スタンドは無許可営業を理由に撤去させた。2012年までに50万台の防犯カメラを設置するなど、治安向上にも力を入れる。

 重慶ヒルトンホテルでは6月19日、経営者と暴力団関係者が手を組んで売春行為を繰り返していたとして102人を検挙、ホテルは営業停止処分となるなど、いまだに黒社会の影響力は根深いものがある。

黒社会が経営者と手を組んで売春行為が繰り返された重慶ヒルトンホテル=深川耕治撮影
 急速な都市整備が進むことで低所得者層の商業環境も激変。「治安回復は高く評価できるが、貧しい露天商は商店街の区画整備で追い出され、新聞を買おうと思っても販売するスタンドが探せず不便」(重慶市内の露天商)との不満も聞こえる。

重慶市内で地下販売されている薄煕来氏の黒社会一掃を特集する雑誌=深川耕治撮影
 重慶は薄氏のてこ入れで中国西南部の地方都市から上海、天津、西安、南京などのライバルとなる大都市に匹敵する重要な直轄市に成長。兪正声上海市党委書記や中央からの視察も増えている。黒社会一掃の華々しい捕物帖は薄氏の前任として重慶市党委書記を務めた胡錦濤総書記の信頼が厚い汪洋広東省党委書記への批判にもつながり、党指導部の権力闘争の一コマとしても見られている。

 ネット上では薄氏について「人民が注目する英雄」「国家主席か党総書記になることが国と人民の希望」「赤い太陽が中国西部から昇る」など次期指導者になることを期待する声が大きい。重慶の大都市整備が進み、同市の評価が高まるほど、次期党指導部へ入るための実績づくりになり、胡総書記の息のかかった共青団(共産主義青年団)派に対抗する習近平国家副主席に次ぐ太子党としてどこまで政治的に評価されるか、2012年秋の党中央政治局常務委員の選出時まで目が離せない。


 




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