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2006年8月31日記(深川耕治)

陳水扁総統の辞任を求める「100万人運動」を展開する台湾民主化運動の闘士、施明徳元民進党主席

 国民党独裁政権時代から徹底した民主化運動の闘士として知られる陳水扁総統の「古い戦友」が、一口百台湾元(三百五十円)を募り、陳総統の辞任を要求する「倒扁運動」の先頭に立ち、台湾政局の台風の目として注目されている。

 野党側が提出した総統罷免案が六月末、立法院(国会)で否決され、陳総統の辞任要求は小休止状態だった。その後、陳総統の娘婿がインサイダー取引で検察当局から起訴され、娘夫婦の家政婦給与が公費から支払われたことも発覚。「国務機密費」の使途不明金問題もクローズアップされ、台湾住民にとって政権への不満は高まるばかりだった。

 野党勢力だけでの総統辞任要求では限界が見え始めてきた時、民進党主席を務めた経験のある施氏は、本来あるべき民進党の清廉な政治と懸け離れてしまった陳政権を批判。野党寄りのメディアが圧倒的に多い台湾でメディアの露出度が高まり、「台湾と民主主義のために陳総統は辞任すべきだ。統一派、独立派に関係なく立ち上がれ」と主張する言動を台湾メディアは大々的に報道している。

 十二日から始めた「倒扁運動」では、二十六日、「約百万人の支持者から一億台湾元(約三億五千万円)を超す募金を集めた」と発表。九月九日から総統府前で総統退陣要求の無期限座り込みを開始することを明らかにした。静かな座り込み抗議は非暴力による「台湾民主劇場」になる(主催者側)として、九日から二日間で八十万人、延べ二百万人の参加を見込んでいる。

 一九四一年、高雄市生まれ。陸軍砲兵学校卒業後、陸軍少尉に任官。六二年、台湾独立連盟案起草に関与したとして反乱罪容疑で逮捕され、無期懲役の判決を受ける。台湾東部沖合の緑島にある政治犯収容施設に収監され、十五年間服役し、七七年に釈放。七八年、美麗島雑誌社の代表となり、七九年の美麗島事件で逮捕され、無期懲役判決を受ける。九〇年に出獄、服役期間は通算二十五年半。九二年、第二期立法委員(国会議員)に就任し、三期務める。九四年、第六代の民進党主席に就任し、九六年に辞任。その後、現実化路線の陳水扁氏と路線対立から二〇〇〇年、民進党を離脱。〇二年の高雄市長選に無所属で立候補したが、落選。〇三年、米国ジョージメイソン大学客員教授に就任。六十五歳。