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2004年10月20日記(深川耕治)

SARS研究の権威、鍾南山・広州市呼吸器疾病研究所長
 秋が深まるにつれ、中国では、再び新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)が発生しやすい季節を迎えた。いまだにSARSの感染源が特定できず、特効薬が開発されていない中で、SARSの権威といわれるこの人の発言力は重みがある。

 十月中旬、広東省広州市内で開かれた呼吸器治療に関するシンポジウムで新たな研究結果を発表。SARSの感染源の一つとみられる中国内の野生動物・ハクビシン(ジャコウネコ科)百三頭から血清サンプルを採取したところ、中国北方に生息する野生のハクビシンにはSARSコロナウイルスの陰性反応ばかりが出たが、広東省内のハクビシンは全体の約七割がSARSに対する陽性反応を示した。

 この結果から「広東省で捕獲したハクビシンは主要なSARSの宿主といえる。早期にSARS感染した患者はビジネスマンやコックで、いずれもハクビシンとの接触があり、大半の患者の血清中にあるSARS抗体はハクビシンのSARS抗体と酷似していることが大きな理由だ」と結論づける。

 とくに今年一月前後に感染が報告された四人のSARS患者はいずれもハクビシンが持つSARS抗体と同じ抗体を持っていたとしており、広東省内のハクビシンを売買する野味市場(野生動物を食材として売買する市場)がSARSの重要な感染源との見方がますます強まった。ただ、どのような感染ルートで人間にSARSが感染したのか、明確なルートは未解明のままだ。

 二〇〇三年一月、同省河源市でSARSに感染した患者を直接診療し、皮質ホルモンを注射して症状を好転させた。〇二年十一月、最初のSARS感染者を出した広東省は〇三年に入り、感染者数が急増したが、広東省SARS救護指導チームのリーダーに就任した鍾所長は初期感染者の診察結果をもとに感染拡大の抑制・治療に大きな貢献をした。

 北京医学院(現・北京大学医学部)卒で、中国工程院院士(アカデミー会員)。大学時代は陸上選手としても活躍し、四〇〇b障害ハードルの全国記録を塗り替え、六十八歳になった現在も体力には自信があり、スポーツ好きであることが若さの秘訣という。(04年10月20日記、深川耕治)