中国企画記事 特選

2004年8月9日記

航空券売買で悪徳代理店「野放し」 中国
便名違い、払い戻しできず
 中国本土の都市部の街頭を歩くと、航空券のディスカウントの宣伝をする人に出会ったり、新聞や雑誌類で毎日、大量の航空券に関する広告を目にすることが多いだろう。この航空券発券の代理業務を行っているのは正規登録されていない「黒代理」と呼ばれる違法な代理店だ。「黒代理」は乗客の違法な搭乗手続きやキャンセルを行うことで航空券市場を悪性競争へ混乱させる元凶となっている。

 七月十日、浙江省温州の小学教師三十三人が香港、マカオの旅行後、広州から温州へ飛行機で帰ろうとした時、搭乗時に乗客名が重複していることが発覚。結果的に三十三人全員が広州で一日足止めされた。同トラブル発覚後、発券業務を行った「黒代理」は間違いを認め、全員の宿泊代と新たな航空券を手配して問題を解決したが、こういう航空券をめぐるトラブルは氷山の一角に過ぎない。

 中国広東省広州には正規の航空券発券代理店は三百店余りあるが、無登録の違法な「黒代理」は一千店以上ある。広東省深センでは正規代理店は三百店余り、「黒代理」は二千店以上にも上る。

 深セン市政府の調査結果によると、深センでは一日平均四十−五十店が地元新聞・雑誌上で航空券の広告を掲載し、そのうち約八割が「黒代理」によるものとなっている。深センの航空管理当局の話では昨年一年間で乗客から四百件以上の苦情を受け、大部分が「黒代理」のトラブルだった。

 「黒代理」から格安航空券を買うと、キャンセルや払い戻し不可である特殊な状況を事前に知らされないトラブルが起こったり、買ったはずの便名と実際の便名が一致せず、違法搭乗させるケースなどが続出している。

 航空専門家は「航空券の安売り競争は『黒代理』の氾濫が主要因」と指摘。一部の航空会社が顧客競争で優位に立つために格安航空券を代理業者に渡し、最終的には「黒代理」が集客する悪構造だという。深セン崗夏村の航空券代理業者は「『黒代理』は正規の航空券販売会社と航空会社の深セン事務所から航空券を購入し、オフシーズンならば定価の七割引で購入し、定価の六割引で売るようになっている」と裏事情を説明する。

 広州市周辺で航空券代理業務に新規参入するには、一万元(約十四万円)ほど投資してホテルや旅館などに電話とパソコンを置くだけの簡単な事務所を持てば容易に開業できる。

 航空券販売代理業には明確な法律規定がなく、未登録の代理店が氾濫する原因となっている。中国ではこれらの問題点を解決する「国内航空運輸価格改革案」が施行されて数ヶ月になるが、効果はまったく表れていない。香港のように「航空券購入指南」などの法的整備で悪徳「黒代理」を排除しようとしても「一時的な解決にしかならないだろう」と専門家は見ている。
(香港紙「東方日報」8月9日付=翻訳=深川耕治)
セン=土ヘンに川。