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2006年6月29日記(深川耕治)

民主化デモに参加表明した陳方安生(アンソン・チャン)元香港政務官


 香港返還前、欧米メディアから「香港の良心」と評され、返還後の中央政府による親英派排除圧力の中で孤高の中立的スタンスを保持した末、二〇〇一年四月末に引退して香港政界の表舞台から姿を消したはずだった。

 だが、元香港ナンバー2は、香港返還九周年を迎える直前の二十四日、中国返還記念日の七月一日に〇三年から毎年行われている完全普通選挙を求める民主派デモに今年は参加することを突然表明、注目を集めている。

 返還九周年を迎える一日はかつて自分の部下だった曽蔭権(ドナルド・ツァン)行政長官が就任一周年を迎える日でもある。デモ参加について「あくまで個人的決断。香港で完全普通選挙が迅速に実施されることを望むために参加する」と話す。

 翌二十五日、民主派の立法会議員らが一日のデモ参加を呼び掛ける記者会見に突然参加。「足元を見ながらしっかり進む」と答え、香港人の反応を直視したい思いを吐露した。本人は昨年十二月四日にも、民主派が主催する完全普通選挙導入を求める大規模デモ(主催者発表で二十五万人参加)に突然参加し、普通選挙のマークを付けた鳥かごを握って「香港政治の鳥かごは、行く末がとても興味深い」と皮肉るパフォーマンスを見せていた。

 曽行政長官は昨年十月、〇七年の行政長官選で選挙委員を現行(八百人)の二倍にし、〇八年の立法議会(定数六〇)選で直接選挙枠と職能代表枠を各五議席増やす案を発表したが、香港基本法(ミニ憲法)が目標にしている完全普通選挙の実施時期には触れないままだった。民主派勢力は猛反発し、昨年十二月のデモに発展。「香港の良心」も同調した。

 当時も〇七年六月の次期香港行政長官選挙への出馬意欲ではないか、と香港メディアは騒いだが、本人は否定。

 二十五日の記者会見でも出馬意志の有無は答えず、「いずれ明確にする」とだけ答えた。二十七日から三日間、香港に滞在する中国共産党序列四位の賈慶林政治協商会議主席に対しても香港政府による熱心な会見招請があるにもかかわらず「会う予定はない」と、きっぱり拒絶。