中国企画記事 特選

2004年8月8日記

「神の手」に猛抗議 サッカーアジア杯
中国サポーター少なくとも三人拘束 北京警察
中国チーム監督は準優勝受賞拒否/新華社も肯定、自国擁護に手段選ばず
日本公使の車、襲われ破損/五輪開催国の信頼度失墜
 8月7日のサッカーアジア杯決勝戦(日本対中国)で日本が三対一で優勝したことへの中国人の強い憤りは八日付の香港各紙でも一面トップで報じられ、同決勝戦への関心の高さを示した。総じて日本が中国を下したことへの納得しがたいうっ積した感情を審判の誤審疑惑にすり替え、反日感情を増幅させることが当然との論調が目立つ。

 香港紙「明報」(8月8日付)一面トップは「上帝之手(神の手)が中国チームを叩き潰す」との見出しで、中国人サポーターが日本チームが得点した二点目をハンドによるファールであるとして審判の誤審が過激な反日行為を増幅させたと詳細に報道。

 「神の手」と揶揄(やゆ)したのは、一九八六年、フォークランド紛争後のサッカーワールドカップ、イングランド対アルゼンチンの試合でマラドーナ選手の得点がハンドによるファールだったとの疑念で紛糾した時の再来として表現。同紙は「昨晩の『神の手』は中国を侵略した日本に対する中国人の心の傷に塩をまいた」と論評している。

 また、試合後、競技場外で中国人サポーターらが日章旗を焼き、少なくとも三人の中国人が警察当局に拘束された、とし、約二百人の過激な中国人サポーターは天安門広場北口に移動して中国旗を振り、警察官らが阻止すると「警察も、クエート(同試合の審判の国籍)も日本もバカヤロー」、「小日本を打倒せよ」などの声を張り上げたと報じた。

 日本チームでさえ、圧倒的なアウエーの試合で最低限のファールを取らない審判への不満を持ちながらも最終的には審判の判断に従うスポーツマンシップを保持し続けたにもかかわらず、中国側はスポーツマン精神など、どこ吹く風。

 中国国営新華社も、「中国チームは日本の死球(ファール)戦術で敗北した」と論評し、優勢だった中国が負けて失望したとの中国チームの心境を伝えた。とくに中国チームのハーン監督が「日本チームの三得点はすべて不合理」と強い不満を抱いて同監督が準優勝の賞を受け取らなかったことを伝え、審判の誤審が敗北に繋がったと結論づける、自国擁護に手段を選ばない体質が色濃く出た形だ。

日章旗や日本チームのユニフォームまで焼く中国人サポーターの今回の騒動で日本人観戦者は蒸し風呂状態の競技場内で約二時間待機させられ、やっと家路につくことを許された。さらには会場を出ようとした日本公使の乗用車が中国人群衆に襲われて後部フロントガラスを壊される事件にまで発展。北京市警察当局は警備に不備があったことを認めて陳謝したが、中国外務省はこの点に関する遺憾の意すら発表しないありさまだ。

 過去の歴史問題がサッカーの試合で反日感情を増幅させ、審判の誤審疑惑を過激な反日言動へさらに増幅させた原因として転嫁、沈黙を決め込む中国政府の対応が続けば、四年後の北京オリンピックを控え、主催国としての信頼度が国際的に失墜するとの懸念は高まるばかりだ。(04年8月8日記、深川耕治)