マカオ関連記事   2006年1月19日記 最新中国株情報 WINTRADE



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ラスベガス資本、中国資本を包囲−マカオ
米中の駆け引きが激化
北朝鮮締め出し、米国式経営が浸透へ

 マカオに長年、東南アジアの拠点を置いていた北朝鮮の商社「朝光貿易」が事務所を撤収し、隣接する広東省珠海に移転した。朝光貿易の主要取引銀行であるバンコ・デルタ・アジア(匯業銀行)が北朝鮮の不法資金の窓口を朝光貿易との取引でしているとの指摘を米財務省が行ったことを受け、同行が北朝鮮との取引を中断したためだ。マカオではラスベガス資本の巨大カジノが開業し、米国型経営が席巻し始め、華僑や中国資本による賭博経営は米国式に押され気味。マネーロンダリング(資金洗浄)規制強化による北朝鮮排除はマカオ賭博利権をめぐる米中せめぎ合いの序章ともいえる。(文と写真・深川耕治=06年1月19日記)


区宗傑氏

 「北朝鮮の銀行や貿易会社との商取引は過去二十年以上、公開して透明であり、北朝鮮関連の収益は全体の2、3%にすぎない。米側に明確な証拠による説明をただすと同時に北朝鮮企業との業務暫定停止を決定し、マカオ政府の指示を仰ぐ」

 昨年九月十六日、マカオの匯業銀行を統括する区宗傑・マカオ匯業財経グループ主席は米財務省から「北朝鮮の不法資金窓口」と名指し非難されたことを「笑止千万」と一蹴(いっしゅう)して地元メディアに説明した。だが、翌十七日には預金者らが預金を引き出すための長蛇の列をつくる取り付け騒ぎを起こし、銀行は混乱。マカオ政府による経営介入を受ける事態となった。米財務省の取り調べを受けた地元銀行としてのイメージダウンは避けられず、米側の圧力が予想以上に悪果を招くと思い知らされた形だ。

 発端は米財務省が北朝鮮関連口座のある匯業銀行を北朝鮮のマネーロンダリングに関与した疑いを持つ企業として具体的に指定したことだ。変節した北朝鮮工作員の情報リークにより、同行が北朝鮮からの偽造紙幣の流通、密輸密売資金の受け入れに深く関与していたとの実態を把握したとしているが、具体的証拠は不明なままだ。
バンコ・デルタ・アジア(匯業銀行)

 だが、香港英字紙「エイシャン・ウォール・ストリート・ジャーナル」の報道では同行だけでなく、中国最大の中国銀行、マカオのカジノ王と呼ばれるスタンレー・ホー氏が経営する恒興銀行も北朝鮮製とみられる米百j偽札(スーパーノート)、覚醒(かくせい)剤、武器取引関連容疑で米司法当局が捜査を進めているとしており、米メディアの報道はこれまで深い闇に包まれていた北朝鮮の“マカオ・コネクション”に国際的な注目を向けさせた。

 マカオから事実上、締め出された朝光貿易はマカオで長年、事実上の北朝鮮代表部の役割を果たし、輸出入業務やビザ発給も行っていた。マカオ警察は一九九四年、朝光貿易が匯業銀行を通じて偽造紙幣を両替しようとしていたところを摘発。その後も事務所を移転してマカオで活動していた。

 今回の朝光貿易のマカオ締め出しで浮き彫りになったのは、米国資本のマカオでの勢力拡大とマカオの伝統的なカジノ企業、それに関連する金融機関の弱体化だ。

 マカオ理工学院社会経済研究所の朱顕龍教授は「カジノ経営権の開放で米国のラスベガス資本が大量に流入し、米企業の発言権が相当増大して北京主導下の特別行政区コントロール以上の力を得始めている。マカオのカジノ経営形態が激変し、米政府の介入は避けられない状況だ」と語る。

 例えば、今回の事件でやり玉に挙がった匯業銀行の区宗傑主席は香港の金融業界で成功し、現在は二期目のマカオ立法会議員。一九九九年のマカオ初代行政長官選挙で当選した何厚★(「金へん」に「華」)氏の唯一の対立候補として出馬して注目を集めた。昨年、中国の全国政治協商会議委員に就任し、マカオの政財界でも親中派として中央政府からの信頼も高まっていた矢先、米国から出ばなをくじかれた形だ。
リズボアホテル(左)とウィン・マカオ

 マカオで約四十年間、カジノの利権を独占していたマカオ旅遊娯楽有限公司のスタンレー・ホー会長も平壌の羊角島ホテルにカジノ場を開いた親北朝鮮財界人として北朝鮮との資金パイプを欧米メディアが批判的に取り上げ、旧態依然のマカオ企業家のイメージを米国側に植え付けた。ホー氏は江沢民前中国国家主席や現中国指導部とも良好な関係で、マカオでの中国資本への牽制(けんせい)という点では米資本拡大には効果的だった。

 匯業銀行事件を受け、中国国情研究センターの●(「萌」の右に「りっとう」)轍主任(港澳研究センター副主任)は「マカオが中国に返還された九九年末以降、開放されたカジノ経営権を得た事実上五社のうち三社が米資本。旧来のマカオのカジノ企業が圧力を受け、米国がマカオの政治経済をコントロールする趨勢(すうせい)を憂慮する」と述べ、マカオが中国主導の一国二制度から米資本大量流入による“米国型カジノ統治”に変化する可能性を強く憂慮するリポートを中央政府に送っている。

 中国政府も同リポートに強い関心を示し、マカオに専門調査員を送り込み、新動向を分析して対応を急いでいる。カジノ産業はマカオの政府税収の七割以上を占め、二〇〇四年はカジノ業界の収益は約四百一億八千万パタカ(六千二十七億円)で前年比44・3%増。マカオ政府のカジノ税収増も39・3%と驚異的な成長を続けており、中国資本よりも圧倒的な資金力を投入する米国資本の参入でマカオの財界勢力地図は大きく塗り替えられた。

 一方、順調にマカオでの収益拡大を続けているのが〇四年五月にオープンした米ラスベガス資本の大型カジノ「サンズ(金沙娯楽場)」。同年七月、その目と鼻の先にある香港資本と米国資本の入った「ギャラクシーカジノ」も順調だ。

 サンズは米ラスベガス資本のベネチアン・グループが約二百億パタカ(三千億円)を投じたハイテク最新鋭の設備でラスベガス・スタイルの洗練されたサービスが売り。設備もサービスも古くさかった旧来のマカオ・カジノのイメージを一変させた。

 同グループは昨年十月、隣接する珠海市の横琴島で二十億jを投じてリゾート開発を行う覚書を同市政府と交わした。敷地面積五・二平方`に国際会議場、高級ホテル、ゴルフ場、ヨットクラブなどの大規模レジャー施設を建設する。横琴島は香港島より大きく、マカオの三倍あり、珠海空港からわずか八`の距離。中国の温家宝首相は昨年九月、広東省視察時に最初に横琴島を訪問しており、中国政府も注目している。

 他方、スタンレー・ホー氏はリズボアホテル前に洗練されたカジノ「新リズボア」を今年中に完成させて対抗。中国政府は中国内での反マネーロンダリング監視範囲を強化し、マカオ政府も昨年、金融機関やカジノでのマネーロンダリング行為に対して三年以上の懲役刑に処することが可能な刑法改正を行った。健全な米国式カジノ経営の浸透とも言える。

 「東洋のラスベガス」と呼ばれたマカオが中国返還後、本場のラスベガス資本参加で米国の発言力が強まる結果をもたらし、中国資本包囲網を築きつつある。人口四十七万人の小さな観光都市マカオは香港とは異質の一国二制度下、米中の主導権争いが加速する勢いは当分止まりそうにない。


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