マカオ関連記事    04年8月4日記


カジノ競合で変わるマカオ
旧来の寡占から脱皮、経済も安定
香港と違い、行政長官高支持率/世界華商会議でも提言多く
 五月、米ラスベガス資本の大型カジノ「SANOS(金沙娯楽場)」(写真右)がマカオにオープンし、今度はその目の前に香港資本と米国資本の入ったギャラクシーカジノ(写真左下)が七月にオープン。「マカオのカジノ王」と呼ばれるスタンレー・ホー氏が会長を務めるマカオ娯楽旅遊有限公司(STDM)のカジノ一極支配は終焉し、三大カジノの競合時代に入った。マカオは多様な観光インフラ整備も進み、香港の経済停滞とは対照的に大きな発展を遂げている。(2004年8月4日記=マカオで、深川耕治、写真も)

米ラスベガス資本の大型カジノ「SANOS(金沙娯楽場)」 「何厚●(金ヘンに華)行政長官(写真左)はマカオ経済の健全な発展のために良くやっている。カジノの自由競合は外資による他の観光インフラ整備の呼び水になった」。マカオ旅行社の社長は何行政長官の手腕をこう評価する大多数のマカオ住民の一人だ。

 香港から高速艇で一時間で行けるカジノと観光の都市、マカオ(人口四十四万八千人)は一九九九年十二月二十日、中国に返還されてマカオ特別行政区政府となってから着実な経済発展を続けている。返還前、「香港がくしゃみすれば、マカオは風邪をひく」といわれるほど、香港経済の影響を色濃く受けていたマカオは、返還後、中台貿易の中継基地としての地の利を生かし、中国広東省の珠海デルタ地帯の一翼を担うほど、安定した発展が続く(写真左)

スタンレー・ホー氏急ピッチで観光開発が進むマカオフェリーターミナル近くの海岸線 その理由についてマカオ大学社会人文学院の呂国民助教授は「スタンレー・ホー氏(写真右)のカジノ利権一人勝ちという旧来の寡占状態を排し、カジノ経営の許認可を他社にも広げ、本当の自由競争を導入したことがマカオに外資を呼び込んだ最大要因」と話す。

 返還前はカジノの利権争奪をめぐり、黒社会(マフィア)二大グループの抗争が激化したが、返還後は中国人民解放軍がマカオ中心部に駐留し、抗争はなくなり、治安が改善。何行政長官は軍の圧力で黒社会を完全にコントロールし、カジノの営業許認可権を米ラスベガスや香港の企業にも与えて大型カジノを続々オープンさせた。これが新たな雇用を生み、観光業が安定した成長を見せている。

マカオ・リズボアホテルのカジノ とくに五月十八日、営業を開始したラスベガス資本の大型カジノ「SANOS(金沙娯楽場)」は総投資額十九億二千万パタカ(約三百億円)、マカオ最大の面積を誇る最新カジノ施設で、旧来のイメージを一新した。世界最大の巨大シャンデリア、自然光を取り入れたメインホール(写真右)は天井が二十bを超え、巨大テレビスクリーンや七百四十席の映画館、ホテルもある。メインホールは連日満席で、リズボアホテルのカジノ(写真左)しか見慣れていないマカオ住民だけでなく、香港人、中国人も、そのスケールの大きさに度肝を抜いた。

香港の董建華行政長官は民主派の猛反発で支持率二〇%前後だが、一期五年を終えようとする何マカオ行政長官は支持率六〇%を維持。二十九日投開票の第二期マカオ行政長官選挙では、何行政長官が選挙委員三百人のうち二百九十七人の推薦を集めて立候補し、対抗馬不在のまま、事実上、無投票再選が決まるほど、無風状態だ。

04年7月5日にマカオで開かれた世界華商組織幹部会議 七月五日に開かれた世界華商組織幹部会議では、百八十人の海外華商がマカオに集まり、マカオへの投資提案が次々と出た。最も注目されているのは、ミニFTAともいわれるCEPA(経済・貿易緊密化協定)の促進に焦点を当てた経済・貿易分野での投資協力。マカオは今後、大珠江デルタ経済圏の一翼を担う期待が高く、台湾からは野党に転じたままの国民党系財界人が参加して積極投資を提案していた。

 昨年の会議で沖縄のカジノ構想投資を呼びかけた台湾系の杜万齢・日本中華工商総会名誉会長は「沖縄のカジノ構想は他業者優位なので諦め、代わりに千葉県成田周辺に万里の長城のテーマパークを創る構想を提案し、良い感触を得た」と話している。

【香港とマカオの比較】
           香港              マカオ
経済成長率  5%(03年第四季)    21.1%(03年第四季)
失業率     7.1%(04年2−4月)  5.5%(04年第一季)
消費物価指数 −1.5%(04)年4月)  −0.2%(04年4月)
小売売上高  155億j(04年3月)   17.5億j(03年第四季)
観光客数    173万人(04年3月)   136万人(04年4月)

※写真は深川耕治撮影のものです。無断転載を厳禁します。