中国企画記事 2007年4月24日記


天主教トップ死去で外交活発化 中国
バチカン側の葬儀参列促す
香港教区からの参列微妙に


 中国カトリックの事実上トップ、傅鉄山・中国天主教愛国会主席(76)が二十日、北京市内で死去したことを受け、中国がローマ法王庁に対して水面下で“葬儀”外交攻勢をかけている。中国は国交回復への前段階として、ローマ法王庁(バチカン)が中国政府公認の中国天主教愛国会を容認するよう傅主席の葬儀参列を促しているが、法王庁側は表向き、沈黙を守っている。(深川耕治)

二十日、傅中国天主教愛国会主席が死去したことで、同会の劉柏年副主席は「バチカンを含め、だれでも北京入りして弔うことを歓迎する。しかし、中国に宗教の自由がないと考える一部の人々は来ることができないだろう」と述べ、バチカン関係者の北京訪問を暗に打診。二十七日まで毎日、北京市内の宣武門カトリック南教会堂で追悼ミサを行い、そこに外国からの来賓参加を受け付けている。

 中国とバチカンの仲介役に意欲を示していた香港カトリック教区の陳日君枢機卿は「現段階では一定の距離を置いているので葬儀参加は必要ないだろう」と消極的だ。ただ、バチカンから少数ながら北京入りする可能性については否定しない。

 一定の距離を置く理由は、ローマ法王が任命する司教について中国側は司教任命権を「内政干渉」と主張し、同愛国会は〇六年五月、バチカンの同意を得ずに国内の司教を任命していることが大きい。バチカン側は拒否し、中国が任命した司教らを破門。台湾との断交問題と司教任命権問題が国交樹立交渉の障害として大きく横たわっている。〇九年には五年ごとの中国天主教愛国会主席の改選人事が予定されており、バチカンとの新たな交渉が必要な時期に来ている。

 ローマ法王ベネディクト十六世は就任直後、「近いうちに中国を訪問したい」と表明。中国国務院宗教事務局の葉小文局長も「台湾との断交と内政干渉しない二原則が重要」と国交樹立に向けた交渉を行っていることを認めており、司教任命権について両国でどこまで妥協が図れるか、今回の葬儀が水面下の交渉の場として進展する可能性も出てきている。

 中国共産党は一九四九年の政権樹立以降、カトリック教会の外国人司教をすべて国外退去させ、五一年にはローマ法王庁と断交。バチカンは台湾と国交樹立した際、中国側は対抗して中国政府公認の中国天主教愛国会を発足させ、共産党政権のコントロール下に置いた。中国のカトリック信徒は千二百万人前後と推定されているが、同愛国会所属の信徒は五百万人で全体の半分にも満たない。ほかはバチカンに忠誠を誓い、地下教会として当局の抑圧を受けながら地下宣教活動を行っている。



中国返還10周年「1国2制度」の実験