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2013年3月29日記


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中国の影響力着々、警戒も BRICS会議
習氏が初外交、欧米に対抗
アフリカでの資源開発激化

 中国の習近平国家主席は22日からロシアとアフリカ諸国を初外遊し、アフリカの鉱物資源獲得と輸出拡大に向け、経済援助を通じた影響力を拡大している。初の国際会議参加となった南アフリカ・ダーバンでの主要新興国BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議では欧米主導の経済秩序に対抗する「BRICS開発銀行」設立で5カ国計1000億ドル(約9・4兆円)出資のうち4割超が中国(410億ドル)で存在感を増しており、関係国は警戒感もにじませている。(深川耕治=2013年3月29日記)

 習氏の初外遊は欧米に対抗する新機軸として中国が主導権を握る環境作りを外交デビューを通して地固めすることにある。

 初外遊の最初の公式訪問国、ロシアでは3月22日、プーチン大統領と会談し、「中ロ双方は国家主権、安全、発展の利益を守るための努力を相互に支持する」と述べ、沖縄県の尖閣諸島をめぐる問題や日ロ間で抱える北方領土問題を念頭に共闘して日本をけん制。モスクワの国際関係大学での講演では「中華民族の偉大な復興であるチャイナドリームを実現するため、中国の発展で世界にもたらすものは利益。中国が貧弱では世界にとって迷惑であり、懸念材料になる」と語り、中国脅威論を否定した。

 3月25日、農業国である中央アフリカ東部のタンザニアを訪問した習主席はアフリカ支援に3年間で200億ドル(約1兆9千億円)を融資することを表明。急増する対アフリカ投資に対する摩擦が増えたことでアフリカ内外から「中国の新植民地主義」との批判をかわすため、資源大国ではないタンザニアを基点に欧米に対抗するアフリカ諸国との新たな関係強化に踏み出した。

 26日、南アのズマ大統領がホスト国を務めるBRICS首脳会議の開幕式での入場はブラジルのルセフ大統領、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、インドのシン首相の順。

 BRICS首脳会議の焦点である「BRICS開発銀行」設立では、5カ国計1000億ドル(約9・4兆円)出資のうち中国が410億ドル、ブラジル180億ドル、ロシア180億ドル、インド180億ドル、南ア50億ドルの内訳となっており、中国が突出している。

 BRICSは世界の経済成長の約半分を占めるまでになっており、習近平国家主席は開幕式で「新興市場と発展途上国は世界の経済成長の最も目立つ重要な部分。各企業がその潮流に乗り、BRICS諸国の経済発展を企業の成長に結びつけていけると確信している」と述べた。

 このほか、中国とブラジルの間で300億ドル規模の通貨スワップ協定が締結され、予定通り進めば、五カ国すべてで通貨スワップが実現することで金融危機を乗り切ることが期待されている。

 習氏は27日、アフリカ諸国の首脳との対話で「志が合う者は山海も遠くない」との葛洪の故事を引用し、関係国がウィンウィンの関係を図る公正平和の共同目的を強調、「独木は林に成りがたい」との古語を使って相互協力を重視し、先進国主導に対抗する結束強化を訴えた。

 ロシアのプーチン大統領は「BRICS開発銀行の設立に賛成するが、設立後は市場原理のみに基づいて運営され、加盟五カ国のすべての社会を支援する銀行になるべきだ」と中国主導による出資突出をけん制。開発銀行設立での出資額をより少なく提示するなど抵抗していた。BRICS五カ国のうち、経済規模では中国がGDP(国内総生産)で世界全体の9・3%を占めて突出し、ロシアは2・4%で存在感が薄れ、主要議題の議論の主導権を奪われかねないとの警戒感がにじむ。開発銀行の出資金割り当てを見ても、新興国での中国の存在感はさらに増していくことに警戒感は根強い。

 同会議では27日、習近平国家主席がインドのシン首相と初会談し、双方の公式訪問要請を了承。巨額の財政赤字に苦しむインドでは中国だけが利するとの懸念が払しょくできておらず、チベット問題を含め、対中関係修復にはなお時間がかかりそうだ。

 世界の金融市場での影響力拡大を目的とするBRICS開発銀行は欧米先進諸国を中心とする国際通貨基金(IMF)や世界銀行、アジア開発銀行に対抗する組織を目指し、資源開発や市場開拓を踏まえたアフリカ各国のインフラ整備融資が主な目的となる。同会議では金融危機など緊急事態に直面した際、外貨準備共同積み立てなども主議題となった。

 実際に銀行が設立運営されるには数年かかる見通しで出資金割合や運営方法、南アが有力とされた本部の設立場所や規模も未定の部分が多いままだ。世界銀行は「貧困と闘い、途上国社会全体の繁栄を実現するためにBRICS開発銀行を支援し、緊密に連携する用意がある」と表明している。