中国企画記事 特選
2004年6月22日記

中央党校副校長が「政治改革」提唱 中国
タブー視された発言、堂々と
 中国共産党の高級・中堅幹部を対象とする政治研修機関である中国共産党中央党学校(中央党校=校長・曽慶紅国家副主席)の王偉光副校長(写真)は最近、国内各地の政治体制には九つの重大問題があり、経済発展と協調する政治体制を保障するために政治体制改革の深化・促進が必要との論文を国内官営メディアの多くに次々と発表し、論議を呼んでいる。

 中国ではトウ小平氏による改革開放路線が始まって以来、経済は資本主義経済を取り入れて沿海部の急速な経済発展を遂げたが、政治に関してはマルクス・レーニン主義を基調とする中国の「特色ある社会主義」思想を維持し、党幹部が政治体制改革を叫ぶこと自体がタブー視されてきた。とくに一九八九年の天安門事件で改革派の趙紫陽総書記(当時)が失脚し、軟禁状態に置かれて以降、トウ小平路線を逸脱するような政治改革発言は“自粛”されてきただけに胡錦濤国家主席や曽慶紅国家副主席のような中央指導者が校長を歴任している中央党校の幹部から政治体制改革の声があがっていることに注目が集まっている。

 二十一日付の中国系香港紙「文匯報」に発表された王偉光氏の論文では、「計画経済時代の政治体制づくりの問題に比べ、現在、急速な経済発展に伴う新たな体制作りが間に合っておらず、政治体制は経済の急速度の発展に対して九つの不適応な問題点を抱えたままだ」と指摘。政治改革の前提条件として、具体的な九つの問題解決を呼びかけている。

 九つの問題とは、@社会主義民主政治と法律体系の不備A基層の民主化建設不足B党指導方式と執政方式の改革不足C政府機能とと行政システムの適応度不足D人材発展制度の不備E政府の社会危機管理能力不足F幹部人事制度の大幅改革不足G権力監督機構の脆弱性H文化体制改革の停滞、などを挙げている。

 王副校長は、この九つの問題解決を前提として、全国人民代表大会制度や共産党指導下の多党協力制度を包括的に堅持し、八つの大幅な政治改革(@政権基盤の建設強化A民主的政策決定制度の実現B行政改革の深化C健全な公務員制度D権力監督機構の強化E市場経済に見合う法整備強化F法施行と法監督の強化G司法の公正さ堅持)を求めている。

 また、中央党校の梁妍慧教授は今月初め、中国誌「半月談」に党内民主化を中央に促す論文を発表。党内幹部の選挙制度を等額選挙(少数人選)から差額選挙(多数人選)へ徐々に移行するよう改革を求める内容となっており、中央党校幹部から政治改革を真正面に議論する動きは胡錦濤体制下で政治改革論議が部分解禁になる好機となるか、今後の動向を見極めたいところだ。(深川耕治=04年6月22日記)