中国関連記事 特選

2011年9月2日記


  • 見出し一覧(戻る)
  • 香港情報
  • 台湾情報
  • マカオ情報
  • 中国指導者 WHO'S WHO









「二人っ子」政策の試行準備へ 中国
少子高齢化で国力衰退憂慮

試験区申請、承認は不透明


 中国の人口抑制策として1979年に始まった一人っ子政策は2002年から緩和に転じ始め、超少子高齢化社会に向け、労働人口の減少による国力衰退を食い止めるため試行錯誤を続けている。中国最大の人口を抱える広東省では両親のどちらかが一人っ子の場合に限り、2人まで子を産める試験区を政府に申請しているが、他省も競っており、どの省から承認されるか不透明だ。(深川耕治=2011年8月13日記)

高齢者人口1億人超す
労働人口の割合減り苦境に
2033年15億人、のち減少

西暦2100年の世界の人口 中国の人口は2010年時点で約13億4141万人(男51.27%、女48.73%)。一人っ子政策が開始された時の世界に占める中国の人口は約22%で1位だったが、2010年では1位を保持したものの19%に下がり、今年発表された国連の人口推移予想(図参照)では2100年にはインドが1位(15億5000万人)、中国は2位(9億4000万人)となってパキスタンやバングラデシュの人口急増で南アジアが世界最大の人口集積地に取って代わられる。

 中国の国家人口計画生育委員会によると、中国は1999年から高齢化社会に突入し、高齢化は加速を続けている。2010年11月1日までの時点で、中国の60歳以上の高齢者人口は1億7800万人(総人口の13.26%)。65歳以上の高齢者人口は1億1900万人で、総人口の8.87%(2030年には先進国並みの15%を突破して日本を上回ると予測)を占め、中国は高齢者人口が1億人を超える唯一の国となっている。

中国の一人っ子たち
噴水公園で遊ぶ中国の一人っ子たち=深川耕治撮影
 このまま高齢化が進むと2020年には約3人の労働年齢者が1人の高齢者、2030年には2.5人の労働年齢者が1人の高齢者を支えることになると予測されている。今後は労働力人口が減少の一途をたどり、人口が多い世代が高齢化して平均寿命が延びることで高齢化とその弊害が急速に進む。

 国家人口計画生育委員会によると、中国の人口ピーク期は2033年前後で約15億人。2015年には14億人(労働年齢人口約10億1000万人)、2020年には14億5000万人(労働年齢人口は約10億人)になる見込みという。

 また、2030年までに中国の農村人口約3億人が都市人口に変わり、都市化率は60%以上となると予測。2050年にはインドが17億4800万人の世界最大人口国に取って代わり、中国は約14億3700万人に衰退していくとしている。

 沿岸部では、子供を生まないカップルや未婚男女が増え、晩婚化が進む。今年第1四半期の離婚率は約14.6%で7年連続の増加。とくに20〜30代代や60代の離婚率が高く、労働年齢人口は着実に低下している。

 0〜14歳の総人口に占める割合が18%以下で出生率が1.8以下の場合、少子化とされるが、中国は今年四月の統計発表では同人口が2億2000万人(16.6%)で出生率が1.8。

 北京大学人口研究所の穆光宗教授は「0〜14歳の人口が相対的に減ることで、将来、18〜35歳の黄金期の労働力が減少し、国家経済発展の潜在能力が弱体化することを意味する。一人っ子の高齢化は出生率をさらに低下させることになりかねない」と悲観的な見方をしている。

 深刻化する少子高齢化問題に対し、各省・自治区・直轄市の状況に合わせて規制緩和策を打ち出す動きが中央政府で出始める中、国内で最も人口の多い省である広東省が7月、両親のいずれかが一人っ子の場合だけ二人まで子を産める試験区としての承認を政府に要請。労働力不足や社会保障の負担増に対処する必要が急務と訴えている。

中国の親子
噴水公園で遊ぶ中国時のの親子=深川耕治撮影
 広東省計画生育委員会の張楓主任(広東省政府副秘書長)によると、省内女性の出生率は過去10年で1.7人に留まって低出生率を維持しており、「二人ッ子政策を実施しても人口圧力はわずかなものに過ぎない」と地元紙に説明。

 今年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)や全国政治協商会議(政協)でも、広東省に限らず、全国各地の全国人民代表や政協委員から一人っ子政策の更なる緩和推進を提案しており、中央政府が規制緩和を承認すれば、年内にも実施される可能性がある。規制緩和案として浮上しているのは、二人っ子政策の条件的実施を東北三省(黒竜江省、吉林省、遼寧省)や江蘇省、浙江省の五省を第一陣として試験導入し、次段階では北京、上海、天津など直轄市や3省前後まで拡大し、最終的に全省・自治区・直轄市まで拡大するというもの。

 省・自治区・直轄市別で見ると、国内最大の人口を有するのは広東省(1億400万人=約8%)。次いで山東省、河南省、四川省、江蘇省の順だ。

 改革開放以来、常に特区設置など新しい改革の先頭に立ってきた広東省が最大人口を有しながら規制緩和の第一陣に入っていないことが同省としては「反中央」の誇りと強い焦りがにじみ、今回の表明に至った背景がある。

 いずれにしても超少子高齢化社会の到来に向け、中国では省・市レベルでの一人っ子政策の緩和推進は不可避の状況だ。