中国企画記事 特選

2004年10月20日記

重慶で暴動、市民らが政府庁舎取り囲む
市民同士の殴打、片方が役人を自称
政府への不満、風聞で“爆発”
 中国・重慶市万州区で10月18日午後、市民同士のけんかをきっかけに政府役人への不満が広がり、市民数万人が区政府庁舎を取り囲んで警察車輌が焼かれる暴動に発展、地元警官数千人が緊急出動して同日夜までに鎮圧した(写真右)。けんかをした片方が果物市場の臨時管理人職でありながら「政府役人だ」と自称して作業員を殴打したことで不満の矛先が政府役人に向けられて大規模な暴動になり、北京・中南海にも「突発的大規模暴動事件」として情報が伝えられているという。

 二十日付の香港各紙が伝える地元目撃者情報によると、暴動のきっかけは、十八日午後一時(日本時間同二時)ごろ、重慶市中心部から北東約三百`に位置する万州区で市民同士のけんかとして発生。荷物運搬作業員の担ぎ棒が女性の衣服に接触し、抗議した女性が必死に謝罪する作業員を平手打ちにし、女性と同伴していた男性が具体的な地元政府役人ポスト名を具体的に挙げて「自分は役人だから殴っても罰せられない」と話した上、作業員の担ぎ棒を奪って作業員の両足を打撲させた。騒ぎに駆け付けた警官は、群衆の不満をよそに、群衆を駆逐した上、殴打した側の男女を警察車輌に手厚く乗せて走り去り、群衆の不満をさらにヒートアップさせたという。

 地元公安当局の調べでは、地元政府役人を自称した男は地元公務員ではなく、果物市場の臨時管理人で、女性は同男性と夫婦だった。

 一部の報道によると、市民らは同事件で政府役人を自称した男が「自分は役人だから作業員の命を二十万元(二百六十万円)で買い取れる」と話したとか、作業員と接触した女性が「自分は金持ちだから作業員への平手打ちは一回二十元(二百六十円)でできる」と話したという風聞まで広がり、三峡ダム移転問題や貧富の格差への不満がうっ積している重慶市民の反政府感情を一機に加速させた、との見方も出ている。

 暴動は市民同士のけんかをきっかけに同日夕には地元政府庁舎前に数万人の市民が取り囲み、市庁舎のガラスを割ったり、警察車輌数台を炎上させるなど、一時騒然とした。

これに対し、万州区副区長が地元テレビに出演して真相解明を確約、市民らに現場から退散するよう求めた。だが、群衆が政府庁舎の器物を破損させるなど暴動が収まらず、地元警察は武装警官数千人を動員して催涙弾などで応戦。同日夜にはリーダー格数十人を拘束し、暴動をようやく鎮圧した。

 北京の中央党校で学習期間中の馬正其・重慶市万州区党委員会書記は暴動事件の緊急連絡を受けて急きょ、北京から万州区へ戻り、緊急対策本部を設立。武装警官を投入した十八日は万州区の党機関は臨時業務停止したが、翌十九日は通常通り、業務を再開。事件の再発防止善後策を練り直している。

住民と警官の衝突事件は最近、中国内では頻発。七月三十一日、河南省鄭州市では農地を徴収される農民二千人と警官六百人が衝突、八月二十四日、広東省番禺市では三百人の村民が汚職役人を地元政府庁舎に軟禁して警官と衝突、広東省中山市でも出稼ぎ労働者四百人が殴打事件を抗議して地元派出所を取り囲み、警官と衝突する事件などが起きている。(04年10月20日記、深川耕治)