話題の人登場 2011年9月16日記(深川耕治)

   



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蘇嘉全秘書長を副総統候補に指名し、訪米している台湾の蔡英文民進党主席

 台湾の最大野党・民進党の副総統候補として陳水扁前政権時代に内政部長(内相)、行政院農業委員会主任委員(農相)などを歴任した次世代ホープの蘇嘉全同党秘書長(54)を9月9日に指名し、党内リーダーの若返りと世代交代を内外に強く印象づけた。

 与党・国民党は馬英九総統(党主席)が今年6月に早々と呉敦義行政院長(63)を副総統候補に指名したのに対し、民進党は人選に手間取り、難航。初の女性総統実現に向け、派閥対立や年功序列的な因習を自らの手腕で打破した。

 蔡党主席は副総統候補として世論の支持率が最も高い彭淮南・中央銀行総裁(71)と接触して打診したが固辞された。ノーベル化学賞受賞者で元中央研究院長の李遠哲氏(74)の名前も浮上したが、立ち消えになってしまった。

 副総統候補に指名された蘇嘉全氏は昨年11月27日に投開票された台中市長選に民進党公認候補として挑み、当初は再選確実と見られていた与党・国民党現職の胡志強候補にわずか約3万票差の大接戦で惜敗。

 総統候補レースで敗れた蘇貞昌元行政院長(64)が高齢で副総統候補にふさわしくないとの意見も出て「年齢から見て大蘇(蘇貞昌)より小蘇(蘇嘉全)が適任」との声が上がっていた。


 蘇氏は洪恒珠夫人との間に二女があり、蔡氏が未婚で女性支持の伸びが足りない部分をカバーできる強力な正副総統候補ペアとの期待感もある。

 9月12日から訪米し、ワシントン、ボストンや西海岸を9月21日まで精力的に訪問。得意の英語を生かし、台米関係の重要性を訴え、国務次官クラスの高官や国会議員らとの会見も予定されている。

 9月13日、ワシントン市内で演説し、馬英九政権の国防政策の脆弱性を危惧(ぐ)し、軍事と対照的に同政権が推進する中台経済協力枠組み協定(ECFA)は「透明性がない」と批判。「国防のため、米国にF16戦闘機など最新兵器の売却を求める」と語った。

 オバマ政権は10月1日を期限にF16の台湾への売却是非を判断する方針だけに絶妙のタイミングだ。来月3〜5日には日本を訪問し、政権奪還に向けて台日関係強化をアピールする。

 来年1月投開票の台湾総統選では宋楚瑜親民党主席が出馬準備を進めており、与党票が割れれば、陳水扁政権誕生時のような漁夫の利を得る可能性も取り沙汰されている。

 1956年8月、台湾屏東県枋山郷生まれ。客家の旧家出身で台湾大学法学部卒業後、米コーネル大学で法学修士、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで法学博士を取得。国立政治大学教授、東呉大学教授を経て台湾経済部、行政院で委員を務め、00年5月に行政院大陸委員会主任委員、05年に民進党所属の立法委員、行政院副院長を歴任。08年5月から民進党初の女性党主席となる。独身。55歳。




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