連載 特選


ルポ コピー天国・中国
ルポ コピー天国・中国(4)

国内優良企業にも被害拡大

WTO相談センターを設立


コピーバイクと真正品バイクの見分け方を啓もうするパンフレット=ジェトロ香港提供

 中国人の愛煙家ならば、高級国産たばことして知られる「中華」。赤字に白抜き文字で目立つ一箱五十元(七百円)以上する国産高級たばこも、コピー製品のはんらんで憂き目を見ている。「見た目は本物とまったく変わらない。吸ってみるまでニセモノと気付かなかった自分が情けないけど、ついにここまで来たか、って感じ」とヘビースモーカーの広州市内に勤めるサラリーマン(28)はぼやいた。

 広東省深セン市では六日、同市たばこ専売局が「打仮(ダージャー=ニセブランド品の一掃)」運動を展開し、二十五種類の中国産高級たばこ(「国賓」「小熊猫」など)の模倣品を製造する地下工場を摘発、模倣品を押収し、十一人を逮捕している。

 海外のブランド品のみをターゲットにしていたコピー製品製造業者らは、当局の取り締まりが厳しくなるのに従い、国内優良企業の製品を模倣して荒稼ぎする動きが目立ち始めた。家電製品の雄、海爾(ハイアール)やTCLのコピー商品が出回り、打撃が大きかったため、中国政府はまず、国内企業の知的財産保護を優先する対策を取り、著名商標登録を国内企業を最優先に行い、被害を最小限に食い止めようと必死になった。そのうち、香港のオイスターソース「李錦記」の模倣品なども出回り、ターゲットは香港や中華圏まで広げられ、外国企業の被害に劣らない被害が拡大している。

 中国が昨年十二月、世界貿易機関(WTO)に加盟したのを受け、日系メーカーの進出が目覚ましい広東省広州市で同月、法制度の対応をめぐり企業の問い合わせに応じる「WTO事務相談サービスセンター」が発足した。同センターは広東省対外貿易経済協力庁の管轄する半官半民の組織として業務をスタート。コピー製品問題が深刻化するのに伴い、知的所有権保護に関する政策提案も担当しており、コピー製品の製造元を発見した場合、「すぐに摘発する」と積極的な対応を約束している。

 センターのスタッフは四十五人で、日本企業に詳しい専門家や国際法に詳しい経験豊富な職員がWTO加盟後の投資、関税問題をアドバイスし、ニーズに合った弁護士や会計士などの紹介あっせんも行っている。

 三月には広州日本人商工会議所や広州の日本総領事館がとりまとめ、広東省に進出している日系企業百社余の代表が参加して同センターによるWTO加盟後の日系企業の対応について研修会が開かれた。日本企業からは「モグラたたき状態の模倣品対策をもっと強化してほしい」などの苦情が寄せられ、センター側としても最大限の摘発努力を約束したが、ノーブランド化した巧妙な手口の地下工場を撲滅するには「官民の協力なしでは困難」との立場だ。

 はんらんするコピー製品被害については「害虫は農薬を散布しない畑に集中する。ニセモノが発生した場合、初期動作が重要で、サンプル入手、信頼できる調査会社を使った製造工場の特定、公安当局への告発など迅速かつ適切な対応が勝敗を決める」(ジェトロ香港)との指導徹底が求められる。

 共産主義の旗を降ろさない中国は中国共産党の一党独裁体制のため、三権分立が認められず、コピー製品被害について不正競争防止法で対処して人民法院に持ち込んでも最終決定権がなかった。だが、WTO加盟で司法決定が最大限の効力を持つことになり、地道な司法告発が実りを結ぶ時代をようやく迎えた。中国は「上有政策、下有対策」(上に政策があれば、下に対策がある)の国柄だけに、日本企業は官民の連携協力を図り、共同戦線を取らない限り、あぶり出しにはなお時間がかかりそうだ。

(広州・深川耕治、写真も=2002年9月16日記)

=おわり=