中国企画記事 特選

2004年8月9日記

「過激行為、見たくなかった」 中国外務省
アジア杯決勝の反日暴動でわずかに論評
日本二得点目の不満で充満 中国官営メディア
内憂外患、ガス抜きのみ
 8月7日夜に行われたサッカー・アジア杯決勝戦(日本対中国戦)で中国人サポーターが君が代演奏中にブーイングを続け、試合後に駐北京日本公使の乗った公用車後部フロントガラスを粉々の壊した事件について、中国外務省の孔泉報道局長は8月9日、「わが国はアジア杯の試合遂行のために多大な努力を行って成功裏に進行できた」と前置きした上で「ごく一部の過激行為はわれわれも見たくはなかった」と述べた。

 中国外務省が同問題についてコメントするのはこれが初めてだが、日本に対して謝罪や遺憾の意と受け取れるものではなく、アジア杯が成功裏に終了したことを印象づける発言を強調。北京オリンピックを四年後に控え、同問題が国際問題化することを避けたいために最小限の「感情」のみ示したに留まった。

 新華社電では、逆に決勝戦での日本の二得点目がハンドによるファールとの疑いを大々的に報道、三大通信社(ロイター、AP、AFP)がいずれも日本の二得点目がハンドによるファールで勝利したと報道しているかのように紹介。試合の勝敗と関係なく「南京のサポーターは非情な夜を慟哭の声を上げながら過ごした」と南京事件の恨みが消えないことを示唆するような報道が目立った。

 中国側の報道姿勢(写真右)には日本公使の公用車が中国人サポーターによって壊された事件自体、一切報道していない。対外向けに中国外務省が「過激行為は見たくなかった」と述べただけで、事件の詳細には触れようとしないコメントに終始。自国民の不満の矛先を反日感情にそらし、内憂外患の覇道政治によるガス抜きしかできないのが実情だ。(04年8月9日記、深川耕治)