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2011年11月25日記


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晩婚化進む中華圏 一人っ子政策の歪み深刻化
未婚人口2億人突破 中国
少子高齢化に拍車 国力衰退への序章

 中国、香港、台湾などの中華圏で晩婚化が進んでいる。中国はGDP(国内総生産)で世界第二の経済大国なった一方、未婚人口が2億人を突破し、国力衰退に直結する少子高齢化に拍車がかかっている。結婚への概念が多様化し、大規模なお見合いパーティが注目を集めたり、民間で「独身の日」を祝うなど、「未婚」「独身」への見方も賛否両論。独身をテーマとする映画が中国内でブレイクするなど、結婚への意識が徐々に変化している。(深川耕治=2011年11月25日記)

都市部は女性、農村部は男性余りが進む
メガ合コンや「独身の日」も
独身世代の映画が大ブレイク

四川省成都で行われた独身男女の相手探し活動

 11月11日、北京、上海、広州の三大都市では、各2000カップル以上、南京、杭州まで含めると、1万5000カップル以上が婚姻届を提出。「脱光棍(独身を卒業)!」と笑顔で叫ぶ男女が婚姻登記所で事務手続きを終え、カラオケや映画館に繰り出した。

 古来から数字に縁起を担ぎ、こだわるのが中国人。同日は2011年11月11日で「1」が六つ重なる。数字の「1」は光棍(グァングン=つるつるの棒)をイメージし、いつしか、子どものいない独身男性を象徴するようになった。

 11月11日は4本の「棒」が並んでいるように見えるため、民間では、国が定める休・祝日とは別に独身を祝う「光棍節」との名前が定着。1993年に南京大学の男子学生4人が、毎晩、夜、寝る時に「どうしたら独身を脱することができるか」を話し合い、11月11日を「独身の日」として組織的な活動をしようと話し合ったことがきっかけだ。

南京市で行われたチョコレートを本命に送ることを助ける活動

 当時、高校、大学のキャンパスで広がり、数年後には都市部から全国に波及。今ではデパート商戦でも「光棍節」にあやかる百貨店が増えている。最近では、この日を「独身に終止符を打つ日」とし、大規模なお見合いパーティー(メガ合コン)を企画したり、この日に婚姻届を出すと縁起が良いとされ、一つの社会現象になってきているほどだ。

 上海では11日、3200カップルが婚姻届を提出。今年のバレンタインデーよりも届け出数が多かったが、「十全十美(完全無欠)」を象徴する10月10日に7000カップルが届け出した時よりは少ない。

 上海ペニンシュラホテルでは111111元(1元=13円)で独身パーティを行う特別イベントを開催。旅行社では「脱光(独身サヨナラ)ツアー」と題して海南島で一千カップルのお見合い(メガ合コン)を企画し、人気を集めるほどだ。

 とくに発祥の地、南京では、お見合いパーティーが過熱。さらに、この意味が発展し、「一夫一妻、一双一家」「一生一世、一心一意」という「夫婦相和して家庭が万事成る」ことを意味するように11月11日を夫婦愛情日にしてしまおうとの動きもある。

11月8日から上映されて大ヒット中の映画「失恋33天」

 11月8日から中国内で封切られた映画「失恋三十三天(失恋33日)」は光棍節を経て予想外に大健闘。徹底した低コストで制作され、監督、キャストとも無名だったことから評価すらされていなかったが、上映2日で入場料売上高4000万元、一週間で1億6000万元を突破し、地味な国産映画としては空前の大ブレイクとなった。
 白百何著の同名ネット小説を脚本に癒やし系のユーモアあふれる内容で、独身男女が結婚に踏み切れず、失恋して再び愛情を育むストーリーだ。

 光棍節だった11日は国内主要15都市の上映館はすべて満席。今後、一万カ所以上の映画館で上映が拡大される予定という。観客のメーンは未婚世代。独身の揺れる心理が映画大ヒットの要因と見られる。
 「愛は人を狂わせる。愛さなければ強靱になれる」との台詞がキャッチフレーズの同映画は決して大スターが登場するわけではないが、「キャッチフレーズが独身男女の敏感な心理をつかみ、ヒットにつながった」(台湾紙「聯合報」11月13日付)との評価だ。

 恋愛映画も商圏は未婚世代が主軸。中国では未婚人口が二億人を突破し、不動産、日常生活品、ライフスタイル関連商品に至るまで巨大マーケットと化している。国内テレビ局でもお見合い番組は高視聴率を取るが、当局からの規制が強化されるほど、社会現象化している。

 中国国家統計局が今年発表した第六次全国人口調査結果によると、出生する男女比(118対100)のバランスがすでに崩れ、2020年には未婚適齢期の男性3000万人から4000万人が男女の人口差のために結婚できない状況に直面すると予想している。中国では都市と農村の収入格差が拡大することで農村部は未婚男性が余り、都市部では未婚女性が多い傾向が続く。中国、香港、台湾では未婚人口が年々増加(表参照)し、とくに独身男性が余る割合が増えている。

中国の恋愛結婚事情に精通している魚順順氏

 中国の人口抑制策として1979年に始まった一人っ子政策は、男女比のバランスを歪め、未婚人口の拡大と少子高齢化に拍車をかけているのが実態だ。

 結婚しない理由は多種多様。中国の恋愛結婚事情に詳しい魚順順氏は「一人っ子世代にとって自分のライフスタイルを結婚によって変えたくないとの思いが強く、結婚相手への願望が高かったり、仕事に忙殺されて伴侶を愛する余力がなかったり、結婚恐怖症になる場合もある」と分析する。旧来の「人生はすべて結婚によって決まる」との主流価値観は生活選択の自由によって塗り替えられ、未婚が少数派だった1970年代までに比べ、既婚より独身の意見が主流になる日もそう遠くはなさそうだ。

 2010年の「中国人恋愛結婚状況調査報告」によると、男性は39歳以上、女性は27歳以上で縁談が極端になくなる傾向にあり、未婚人口が増加している原因として「独身者自身の社交エリアが極めて狭く消極的であること」と分析している。

【中国の未婚人口】
2009年 2億800万人(男性1億2200万人、女性8609万人)
1999年 1億7700万人(男性1億500万人、女性7206万人)
※中国国家統計局による15歳以上人口の統計結果から算出

【香港の未婚人口】
2010年 189万人(男性98万人、女性91万人)
2001年 168万人(男性92万人、女性76万人)
※香港統計処による15歳以上人口から算出

【台湾の未婚人口】
2010年 682万人(男性372万人、女性310万人)
2001年 602万人(男性337万人、女性265万人)
※台湾主計処による15歳以上人口から算出