台湾企画記事
2004年5月18日記

再集計、票差縮まる−台湾総統選

中国軍の動向注視

 二十日、二期目の陳水扁総統の就任式を迎える台湾では、総統選挙の票再集計が八割近く進み、三月二十日の投開票で約三万票差だった陳総統と連戦国民党主席との票差は数千票から一万票近くにまで縮まる見通しだ。大接戦を制した陳総統は中国の文攻武嚇(言葉と武力で威嚇)が強まる中、「独立宣言なき独立志向」を強めながら多難な船出を開始する。
(深川耕治、2004年5月18日記)

 台湾全域では総統選の票再集計七日目を迎える十六日時点で八割近い県や市で集計を終了し、与党・民進党関係者は「票差が一万票近くまで縮まる可能性がある」との票読みを行った。
 特に陳総統側の無効票が多かったのが民進党支持者が多い大票田の雲林県、嘉義県で、連戦主席を擁護する野党連合の顧問弁護士は「陳総統に投票した有効票が無効票に変わった票数は連主席の票数の約五倍」と指摘。場合によっては票差が数千票まで狭まるとの観測もある。
 これに対し、李応元民進党副秘書長は十六日、「再集計で問題となっている約一万八千票のうち陳総統側の票が約一万票、連氏の票が七千―八千票となっており、勝敗が覆ることはあり得ない」と述べており、陳総統も勝敗が覆る可能性への憂慮はまったく持っていないという。
 再集計で陳総統の再選が揺るがないとしても、票差がさらに小差となる結果になれば、台湾の有権者が真っ二つに分かれ、与野党伯仲による政権不安定のイメージを与えるのは確実で、立法院(国会)で少数与党となっている民進党政権にとっては政局の不安定さを内外に印象付けそうだ。
 中国共産党中央台湾工作事務室と国務院台湾事務弁公室は十七日、陳総統が四年前の就任時に確約した「五つのノー」と「台湾独立宣言はしない」の二点を欺き、住民投票の強硬で確約をことごとく覆す政策を行っていることは自縄自縛による自滅の道だ、と警告。「現在の両岸(中台)関係を危険な状態に追い込んでいる」と責め立てている。
 米国防省筋の情報では、総統就任式の二十日以前に中国軍が大規模な軍事演習かミサイル試射を実行する動きがあり、台湾紙「連合報」(十六日付)が伝える米政府高官の話では米海軍が第七艦隊の空母「キティホーク」を東アジア海域に派遣し、総統就任式の二十日すぎまで警戒態勢を敷いている。二期目を迎える陳総統にとって、内政の安定と中国の外圧排除のための対話再開が急務といえそうだ。