中国企画記事 2007年7月12日記

携帯電話の爆発事故増える 中国
粗悪品氾濫、死亡事故も
需要大国、販売管理ネックに


 世界最大の携帯電話市場である中国で、携帯電話が突然爆発して死傷する事故が相次いでいる。甘粛省金塔県では溶接作業員が胸ポケットに入れておいた携帯電話が爆発し、死亡。広東省広州では中古携帯がショートして爆発したり、充電時に爆発して重軽傷を負うケースが報告されおり、密輸品、偽造品氾濫(はんらん)への危機感が高まりつつある。(深川耕治、写真も)


 広州市白雲区の男性は二日前に中古携帯売り場で購入したエリクソン製携帯電話が六月末、突然火花を出して爆発。胸の部分が真っ赤に焼けた火傷の跡が破壊された携帯電話と一緒にネット上で公開された。同日、広州市越秀区の女性は中国の彩星製携帯電話を充電開始したところ、十分後にバッテリーが爆発。携帯本体も破壊され、鼻に六針を縫うけがをしてこれもネット上で公開された。携帯電話は二ヶ月前に新品を購入し、バッテリーは一ヶ月前に購入したものだという。

中国広東省深セン市内の大規模な携帯電話売り場
 被害者らは広州市政府商工部門に賠償を求めて抗議したが、携帯電話が中古品だったり、バッテリーが正規品でない場合と判断されて却下。中国国内で出回る粗悪品、偽造品、密輸品が携帯電話市場でも氾濫し、爆発事故が増えていることに地方政府も神経をとがらし始めている。

 六月十九日には甘粛省金塔県双城鎮の鉄鋼工場でアーク溶接作業員が作業中、モトローラ製携帯電話のバッテリーが突然爆発し、折れた肋骨が心臓に刺さって死亡。事故当時、作業員は作業着の胸ポケットに携帯電話を入れていた。モトローラ社は当初、賠償する意向だったが、爆発原因については不透明なままだ。

 中国の大都市部では「黒手機(偽造携帯電話)」を正規品と偽って販売するケースが増えており、携帯電話の偽造電池に到るまで地下工場で製造され、販売ルートも拡大。「コピー天国」の悪名は携帯電話市場で死傷者を出すレベルまで深刻化している。

中国広東省深セン市内で自転車に乗り、携帯電話で話す若者
 今年二月に発表された中国情報産業省の最新統計によると、中国内の携帯電話所持者は四億六千万人にふくれあがり、米国を抜いて世界一の需要。中国内では外国有名ブランド製品の偽造品、模倣品の氾濫で中国政府も知的財産権問題を厳しく管理する動きを見せているが、膨張する携帯電話市場では取り締まりも“モグラたたき”状態だ。偽造品は携帯電話本体、バッテリー、充電器など多種多様に広がっている。

 広東省と隣接する香港では中国製の偽造携帯製品がにわかに地下流通し、香港税関当局は水際での入入阻止に必死だ。七月には香港の中間卸売業者や小売店を一斉捜索。有名ブランドを偽造した携帯電話機やバッテリーのセット百二十九個(二百万円相当)を押収し、三人を逮捕した。「水貨(並行輸入品)だから正規輸入品よりも安く販売できる」と偽り、本物そっくりに模倣された中国地下工場製の電話機とバッテリーをセットで販売していた。

 香港でも携帯電話が突然発火したり、ショートして爆発する事故が報告されており、正規ブランド品を巧妙に模倣した偽造品被害が徐々に増え始めてきている。