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2013年5月13日記


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中台に新たな国共合作の動き
台湾退役軍人らが訪中
 台湾は馬英九政権になって経済や文化面での対中交流が推進される一方、政治対話では「統一せず、独立せず、武力行使せず」との方針堅持による台湾海峡の現状維持を目指している。軍事面でも緊張緩和に伴い、台湾の退役軍人らが北京の中央軍事委や国防大学、北京軍区などを訪問し、新たな国共合作の糸口を見いだす動きが出ている。(深川耕治=2013年5月13日記)

民間交流で関係打開を模索

 台湾の対中経済開放、文化開放は馬政権が2008年に発足以来、中台の自由貿易協定に相当する経済協力枠組み協定(ECFA)を締結し、急速に進んでいる。

 4月28日、中台窓口機関トップによる対話開始20周年記念座談会で台湾の対中民間窓口機関である海峡交流基金会の江丙坤前理事長(中国国民党副主席)は馬政権に対して台湾内で中国中央テレビや中国系香港衛星テレビ局・フェニックステレビの放送を国際ニュース番組として地上波でも視聴できる優遇措置を提言。台湾の龍応台文化相も翌29日、「思想開放を憂慮していない」と前向きな対応を取っている。中国国防省も毎月行っている定例記者会見に先月から台湾メディア4社の出席を認めるなど、優遇措置を取り始めており、台湾側の対応を見極めている段階だ。

 江前理事長は「既に中台の経済問題の大部分が解決し、馬総統が残り任期3年以内で軍事相互信頼システム、平和協議などの政治議題を決着できるよう期待している」と述べている。

 台湾与党の中国国民党としては、2月末には連戦名誉主席が訪中して中国要人と会談するなど、中国共産党との両党間での政治交流を深め、新たな国共合作へ進展させ、政府間協議へつなげることを目指している。

 中国側は尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権をめぐり、台湾と共闘したい構えだが、馬英九総統は中台の法的立場の相違から共闘を拒否して政治対話に進展が見られない中、政治対話で新たな糸口を見いだしたいところだ。

 馬総統は4月29日、中台関係について「一つの中国」を前提に相互主権を認めず、統治権を否定しない対等な立場であることを強調。5月8日、台湾メディアに対して中国の胡錦濤前国家主席や温家宝前首相の訪台招請は「現段階ではない」としつつ、周美青夫人の訪中の可能性については「台湾と大陸(中国)は国と国ではないので外交問題は存在しない」として否定しなかった。今後は、政府間の公式交流では限界があるため、民間交流による中台関係打開を模索しようとする動きだ。

 特に中台の軍事交流については壁が大きい。4月17日には台湾軍は澎湖諸島で中国軍の侵攻を想定した総合軍事演習「漢光29号」を実施しており、馬総統は「防衛努力による台湾海峡の平和維持」を強調している。

 中国人民解放軍と中国国民党軍は第1次国共合作(1924~27年)、第2次国共合作(37~46年)で協力関係を保ったが、49年以降は敵対関係となっている。

 台湾の退役軍人で組織される「退役官兵輔導委員会」は元上将7人、元中将9人の合わせて16人で5月10日から5月17日まで北京を訪問し、中国共産党中央軍事委員会や人民解放軍の四装部(総装備部、総参謀部、総政治部、総後勤部)との交流を行い、中国国防大学や北京軍区などの重要軍事施設を訪問する。

 訪問団の団長を務める台湾総政治作戦部の許歴農元主任(95)は新同盟会長の身分で「平和の旅」として訪中。全国政治協商会議の幹部らとの座談会に参加したり、中国国務院台湾弁公室や黄埔軍校同総会などを訪問し、「シンポジウム形式の意見交換で平和裏に相互信頼を構築できる機会となることを望む」と話している。

 台湾競争力フォーラムが5月9日に発表した台湾の最新世論調査結果によると、自分のアイデンティティーについて「中国人だ」と思っている人が58%、「中華民族だ」と思っている人が89%を占めるようになり、台湾での中国化が進んでいることを示している。