中国企画記事 特選

2007年10月11日記


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激しい江沢民派巻き返し 第十七回党大会
次世代登用めぐり新人事で火花

習近平、李克強、張徳江ら昇格か
団派VS.太子党 後継争い激化
曽国家副主席の去就も左右


 第十七回中国共産党大会が十五日から開幕する。五年に一度の党大会は二期目を迎える胡錦涛政権にとって党最高指導部人事をはじめ、党の基本方針、政策を決め、熾烈な党内権力闘争を制する最大の山場となる。留任確実なのは胡錦涛総書記(64)、呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(66)、温家宝首相(65)の序列トップ3だけで、胡総書記に次ぐ政治権力を握る曽慶紅国家副主席の去就やポスト胡錦涛時代を見据えた次世代指導者の登用は胡錦涛派である団派(共産主義青年団出身者)と江沢民派、太子党(高級幹部子弟)の複雑な権力闘争でぎりぎりまで決着がつかない状況が続いている。(深川耕治)


 党の最高指導部である政治局常務委員のポストは現在、九人(六月死去の黄菊副首相を含む)。二〇〇二年十一月の第十六回党大会で従来の七人から九人に増員されたが、当時、九人増員を直前で正確に報じたのは台湾紙「連合報」北京特派員電のみで、香港や欧米メディア、内外のチャイナウオッチャーをはじめ、それ以外は七人定員が前提で新人事を予想し、前提条件自体が間違っていたため、ことごとく外れた。

 十五日開幕の党大会でも政治局常務委員の数が九人に据え置かれるかは不明で「現状維持が有力との一方で江派、団派、太子党の妥協次第では七人制、五人制、十一人制すらもあり得る。権力闘争が複雑になるほどポスト胡錦涛選びを先延ばしするために定員は膨れるだろう」(北京の消息筋)との指摘もある。

 十六回党大会当時、党中央軍事委主席として実質的な院政を敷いていた江沢民前総書記(81)は胡錦涛氏に総書記ポストを委譲する代わりに「胡政権一期目の〇二年から五年間、党の重要決定については必ず江氏の合意を得る内約が胡総書記との間で取り交わされていた」(香港誌「開放」の金鍾編集長)とされる。

 しかも、政治局常務委の定員枠を七人から異例とも言える九人に増やし、対外的には集団指導体制を敷いたように見せ、実際は江沢民派(上海閥)が過半数(五人)を制することで江派の権力温存を最大限保つ形で決着させた。

 しかし、政権発足当時は党内基盤が盤石でなかった胡氏はここ五年間、江派と良好な関係を保ちつつ、地方幹部に自分の出身母体である団派を着実に昇進させて地方での求心力を高め、党内基盤の安定を保ちながら地方農民らの苦悩を現地視察しながらくみ取る親民路線で指導力を発揮。江氏が〇四年九月に党中央軍事委主席を引退、〇五年三月には国家中央軍事委主席を退いて完全引退して以降は着実に党内権威を強化していった。

 胡総書記が江派と良好な関係を保ちつつ権力基盤を整えていくことを可能にしたのは江氏の懐刀として辣腕をふるい、太子党の人脈を持つ曽慶紅国家副主席の存在が大きい。党處列五位ながら事実上は党組織や人事を掌握し、胡氏に次ぐナンバー2の権力を持ち、江氏完全引退後は江氏の直接的影響力から距離を置く形で胡総書記と協調関係を築いてきた。

 胡総書記にとって党内安定のために曽氏の協力は不可欠なため、当初は曽氏の留任説が有力だったが、党大会直前には一変。曽氏は半年前ぐらいから退任を胡総書記に打診していたが、内部基準である「六十八歳定年制」の原則に例外は許されないとして「江沢民氏が早々と曽氏引退を了承し、九月初めに李克強遼寧省党委書記を五年後の首相候補、習近平上海市党委書記を総書記候補に推した」(香港誌「開放」十月号)。

 江氏は次世代指導者の指名を事実上行うことで江派温存と故ケ小平氏に匹敵するキングメーカー的な後継最高指導者の選定権威を得たい激しい巻き返しの思惑があり、胡氏も江氏の意向を無視できず、黙認せざるを得ない状況に迫られている。

 残る政治局常務委員では江派だった故・黄菊副首相のほかに中間派(李鵬派)の羅幹・中央政法委員会書記(72)、胡錦涛派の呉官正・党中央規律検査委員会書記(69)も退く見込みでアモイ密輸事件の家族関与が残る江派の賈慶林・人民政治協商会議主席(67)も引退濃厚となっている。江派の李長春政治局常務委員(63)は河南省党委書記時代のエイズ対策不備などの責任問題が出て退任説が出ているが、年齢制限には抵触せず、留任の可能性も残されている。

 次世代リーダーとして政治局常務委入りが有力視されるのは団派で胡総書記が推す李克強・遼寧省党委書記(52)、太子党で江沢民氏が推す習近平上海市党委書記(54)、江派ながら胡総書記の信頼もある政治局員の張徳江広東省党委書記(60)の三人だ。

 いずれも胡錦涛氏ら革命第四世代に次ぐ「第五世代」で李、習両氏は、政治局員(現行二十三人うち一人死去で空席)ですらなく、政治局常務委入りが実現すれば二階級昇進の異例なスピード出世となる。このほか、政治局常務委入りの呼び声が高いのは周永康公安相(65 国務委員)、賀国強中央組織部長(64)でいずれも江派の政治局員だ。

 ポスト胡錦涛の最有力と目されている李克強氏は胡総書記と同じ共産主義青年団(共青団)出身で胡氏は五年後の人事で李氏を総書記、張徳江氏を首相にしたい意向だったとされるが、江沢民氏が習近平氏を総書記候補、李氏を首相候補にすり替える動きを見せたため、胡派は江派が担ぎ出した太子党との権力闘争が激化。江派の激しい巻き返しが最終局面で続いている。

 第五世代では、新たな政治局入りの有力候補は大半が団派と太子党で、江派に連なる上海閥は大きく後退することが確実。団派では李源朝・江蘇省委書記(56)や汪重慶市党委書記(52)、太子党では薄煕来商務相(58)などが確実視されている。

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