話題の人登場 2010年8月3日記(深川耕治)  最新中国株情報 WINTRADE

   



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北京大学で初講演した台湾の著名女流作家・龍応台さん

 8月2日、北京大学で初講演し、台湾独立派にも中国指導部にも非常に辛口の批判をすることで有名な台湾女流作家であることから発言内容が注目された。

 「私の中国に対する夢は『大国崛起(大国の台頭)』ではなく『文明崛起(文明の台頭)』。一つの国家の文明の是非は、少数民族や異議分子(反体制分子)、社会的弱者に対してどう扱うかによるものだ」と述べ、中国共産党の少数民族への抑圧政策を暗に批判。

 1000人以上がぎっしり埋まった北京大学創立百年紀念講堂で「ここは本当に北京大学ですか」と話した後、「1000発の(中国沿岸部にある)弾道ミサイルが私(台湾を指す)に標準を合わせている。あえて私が中国の夢を語ることができるでしょうか」と中国の台湾威嚇を軽いジョークでさらりと言うあたりは肝が据わっている。

 「『大国崛起』という表現は人民に軍事力増強や経済発展を鼓舞させる政治的な唯我独尊。最終的には人民が災難に曝(さら)される」「(中国大陸の)13億人が(台湾の)2300万人にどう対峙(たいじ)するか、を含め、少数の異議分子(反体制分子)への対応が国家文明のレベルを示すことになる」と独自の文明論を説いた。

 これだけの中国共産党批判であるだけに中国メディアは講演内容を一行も配信していない。ただ、台湾が馬英九政権になり、中国との自由貿易協定(FTA)に相当する経済協力枠組み協定(ECFA)に調印して現実化する動きの中で台湾知識人の中でも大きな影響力のある龍氏が中国で講演することは、中台関係の改善を望む中国政府としても黙認するしかない状況だ。

 本人は台湾独立派ではない。外省人の悲哀を感じているが、むしろ、独立派を批判する立場。李登輝元総統が書いた「台湾の主張」に関して「あれは李登輝さんの個人的な主張。台湾の主張ではない」とバッサリ切り捨てている。

 本人の著作や発言に関しては台湾本土派、独立派、統一派に至るまで政治的な立場が違っていても幅広い根強い人気がある。

 1952年2月13日、台湾南部の高雄県生まれ。父(龍槐生)は湖南省衝山生まれで台湾に逃れた外省人一世。母(応美君)は浙江省淳安生まれで戦後、台湾に逃れた外省人一世。外省人の中には台湾で生まれた子の名前の一字に「台」を付けたり、香港で生まれた子の名前の一字に「港」をつけたりしていたことから、本人の名前も同様の意味を持つものと推察される。

 父親の勤務先である台湾中北部の苗栗県で育ち、国立成功大学外国語系を卒業後、カンザス州立大学英米文学部へ留学して博士号取得。

 ニューヨーク市立大学で教鞭を執り、台湾の中央大学、淡江大学、独ハイデルベルク大学で教え、1984年に台湾紙「中国時報」で連載した「野火集」が大反響を呼び、書籍化。ドイツ人の前夫との間に二男。著書「親愛なるアンドリュー」のアンドリューは本人の長男をモチーフに書かれたもの。スイスやドイツで暮らした後、1999年に台北市文化局長、香港シティ大学や香港大学の客員教授、台湾清華大学教授などを歴任。05年、龍応台文化基金会を発足させている。著書に「東欧から見た台湾」「龍応台自選集」「百年の思索」「思索香港」「親愛なるアンドリュー」「大江大海一九四九」など多数。58歳。




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