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2008年10月2日記 最新中国株情報 WINTRADE


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噴出する“北京五輪後遺症”
粉ミルク汚染拡大、地方幹部罷免…

低所得者層の不満渦巻く
上海万博へ高まる不安も


 
北京五輪を成功裏に乗り切った中国はパラリンピック期間中、有害物質メラミンによるミルク汚染事件が発覚し、食の安全管理が改めて問題化。五万人超の乳幼児が入院・治療を受けるなど死者まで出す深刻な事態は国内外で波紋を広げている。五輪開幕前に精算すべき事件・事故が露見し、政府高官や地方幹部を次々と解任することで党中央の権威を死守しようとする胡錦涛政権は、噴出する“北京五輪後遺症”に厳しい舵取りを迫られている。(深川耕治、写真も=08年10月2日記)


メラミン入り粉ミルク被害に遭った中国の乳幼児
 乳児の腎臓結石の原因となった有害物質メラミンが粉ミルクから最初に検出が判明したのは、国内大手の乳製品メーカー「三鹿集団」(河北省石家荘市)によるもの。北京パラリンピック開催中の十一日夜、中国衛生省が緊急発表した。

 三鹿集団の本部がある石家荘市は製品の冷凍餃子が日中両国で食中毒事件を起こした「天洋食品」もある都市。地元酪農家から牛乳を買い集めて乳製品メーカーに売る悪徳仲買業者が、牛乳を水で薄めて量を増やすだけでは当局の検査に合格しないため、二○○五年四月以降、牛乳に有害物質メラミンを大量に混ぜてタンパク質含有量を高める不正工作をして検査に合格し、牛乳を薄めた分、莫大な利益を上げていた。

 三鹿集団は氷山の一角に過ぎず、その後、同社以外に全国の乳児用粉ミルクメーカー二十一社の製品からもメラニンが検出されたことが公表され、一部製品が海外に輸出されていたことから国際的な食の安全危機となった。

 二十一日時点での中国衛生省の発表では、同事件で死亡した乳幼児は中国内で三人、入院治療中の乳幼児は一万二千八百九十二人(うち重症百四人)、ほぼ回復した乳幼児が三万九千九百六十五人で被害者数は五万人超に上る深刻な事態に陥った。被害は動物にも拡大。メラニン入りの乳幼児用粉ミルクは海外ブランドに比べて廉価で低所得者層の家庭が購入し、被害者となったことでずさんな衛生管理と貧富の格差への不満はさらに政府に向けて増大している。

 メラミンが検出された乳製品メーカー二十二社の中には業界最大手の「伊利実業集団」(内モンゴル自治区)や「蒙牛乳業集団」(同自治区)、「光明英雄乳業」(江西省)も含まれ、中国政府は自主回収を命じた。国内の消費者にとってはどのブランドを信用して良いか分からないとの衝撃が走っている。

 伊利集団は北京五輪の乳製品スポンサー企業。飛び込みの女王・郭晶晶選手ら五輪メダリストを起用した派手なコマーシャルや人気テレビ番組のスポンサーとして売り上げを伸ばし、その裏ではずさんな生産実態を浮き彫りにした形だ。同社の乳製品は北京五輪と北京パラリンピックにも納入されているが、中国中央テレビの報道では「五輪やパラリンピックに提供した製品は国の検査に合格している」と報じ、北京五輪のイメージが壊れることを極度に警戒している。

香港でもメラミン入りの中国本土製造「コアラのマーチ」が問題になった
 香港、台湾、シンガポール、ニュージーランドでは中国から輸入された中国製食品から有害物質メラニンが検出され、製品回収や検査強化を進め、中国製食品への不安感は拡大する一方だ。
 同事件を受け、二十二日、食の安全問題を担当している国家品質監督検査検疫総局の李長江総局長(閣僚級)や河北省石家荘市トップである呉顕国党委書記が更迭され、同市長ら主要幹部も次々と解任された。

 山西省では違法操業中の鉱山のボタ山崩壊で土石流が発生して二百五十四人の死者を出した事件の責任を取り、十四日、同省ナンバー2の孟学農省長が辞任。胡錦濤国家主席に近い共産主義青年団出身の孟氏は〇三年四月、新型肺炎(SARS)の情報隠蔽問題の責任を取って更迭されて以降もエリートとして出世してきたが、二度目の辞任ということになる。また、今年三月のチベット騒乱の責任を取る形でチベット自治区の秦宜智副主席や王賓宜公安庁長らが二十六日、更迭されている。

 政府高官や地方幹部の解任はずさんな管理体制や地方の腐敗を取り締まる高官問責制は「中国の新たな政治改革の光明」(香港誌「亜洲週刊」)との期待もあるが、人災の側面も大きい四川大地震では四川省幹部の更迭を行わず、北京五輪開幕前までに処断すべき食の安全、環境問題などにメスを入れなかった胡錦濤政権自体の責任論もくすぶっており、“北京五輪後遺症”は次々と噴出している。民衆の怒りを高官更迭で勧善懲悪として権威づけしながら危機を回避する胡政権の巧みな人事工作でもある。

 北京五輪が終わり、中国では一〇年五月一日開幕の上海万博をいかに成功裏に実施するか、国際的関心もシフトしつつある。わずか十七日間だった北京五輪に比べ、上海万博は百八十四日間という長丁場。二百二十一の国家・地域が出展し、のべ七千万人の入場者が見込まれる。少数民族問題、農村の貧困問題、環境汚染、食の安全問題など民衆による一触即発の反政府活動の火種は多く、二週間余の北京五輪と比べて封じ込めには限界がある。 一方で中国の有人宇宙船「神舟七号」が中国初の船外活動を成功させ、愛国的な国威発揚ムードを拡大させ、民衆の不満増大を抑制する作用にもなりそうだ。



 




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