台湾関連情報  2006年12月4日記


総統選にらみ「疑惑」中傷合戦 台北、高雄市長選
野党優勢、与党も必死の反転攻勢
高雄敗北なら民進党大打撃に


 二〇〇八年春の台湾総統選に向け、前哨戦となる台北、高雄の二大市長選挙(九日投開票)まで一週間を切った。陳水扁総統夫人が総統府機密費の横領で起訴される一方、最大野党・国民党の馬英九主席(台北市長)にも市長経費の流用疑惑が浮上。野党優勢の風向きが微妙に変わり、与党・民進党は現有の高雄市長ポスト死守へ反転攻勢して急追している。(深川耕治=06年12月4日記)


 陳総統夫人の公費流用事件に続き、馬英九台北市長に市長特別費の流用疑惑が浮上し、劣勢に立たされていた与党・民進党は馬氏の辞職を勧告。与野党の金銭疑惑中傷合戦は二大市長選を目前に激しさを増している。

 八月、民進党の立法委員(国会議員)が公費であるべき市長特別費を馬市長は私的に流用していることを告発し、検察当局は十一月に入り、馬氏を二度にわたって事情聴取。検察の調べでは市職員の報償費や交際費など公費に充てられる市長特別費のうち半額が馬氏の個人口座に振り込まれ、他人名義の領収書での清算や市長の飼い犬の費用にも使われたなどの事実関係が明らかになっている。

 十一月二十四日、馬氏は「起訴されれば党主席を辞任する」と記者団に表明し、身の潔白を強調しているが、〇八年の総統選での野党最有力候補とされる馬氏にとって政治生命すら失いかねない初スキャンダルだ。

 一方、陳総統は娘婿がインサイダー取引事件で懲役五年の実刑を受け、側近の金銭疑惑、夫人の横領事件での起訴などが続き、十一月までに三度の総統罷免案が立法院に提出されたが、なんとか否決されてしのいだ。夫人起訴後、陳総統は「一審有罪なら辞職する」と表明したが、三度目の罷免案で党方針に不満を持つ民進党の立法委員二人が総統を批判して辞任するなど、不協和音が党内で出ている。

 台北市長選は民進党の謝長廷前行政院長(60)、国民党の●龍斌元環境保護署長(54)、親民党の宋楚瑜主席(64)ら六人が立候補しているが、事実上は国民党と民進党の一騎打ちに親民党が加わった形だ。外省人(戦後、台湾に渡ってきた人々と子孫)が多い台北は国民党の地盤。地元紙「中国時報」の最新世論調査では●氏が支持率四八%、謝氏二四%で●氏優位に変化はない。

 与野党にとって天下分け目の闘いは台湾第二の都市・高雄の市長選だ。民進党の陳菊前労工委員会主任委員(56)、国民党の黄俊英元高雄市副市長(64)など五人が立候補しているが、事実上、陳氏と黄氏の一騎打ち。民進党の地盤である高雄だが、陳候補は中盤まで支持率で黄氏に一五ポイント近く差をつけられて苦戦を強いられた。だが、高雄市議会で過半数を占める民進党は、党幹部が続々と高雄入りしててこ入れし、民進党の調査では、差は三ポイントまで迫ったとして終盤、黄候補を急追。勝機が低い台北市長選よりも接戦で絶対に落とせない高雄市長選での当落の行方が今後の陳政権の存廃の鍵を握っている。

【台北、高雄市長選での与野党対決】
台北市長選
民進党         国民党        新党
1994年 陳水扁(43.7%) 黄大洲(25.9%)  趙少康(30.2%)
1998年 陳水扁(45.9%)   馬英九(51.1%)
2002年 李応元(35.9%)   馬英九(64.1%)
2006年 謝長廷(?)     ●龍斌(?)

高雄市長選
民進党         国民党
1994年 張俊雄(39.3%)   呉敦義(54.5%)
1998年 謝長廷(48.7%)   黄俊英(48.1%)
2002年 謝長廷(50.0%)   黄俊英(46.8%)
2006年 陳菊(?)      黄俊英(?)


●=赤ヘンにオオザト