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2010年5月17日記 最新中国株情報 WINTRADE


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北朝鮮へ団体ツアー解禁 中国
レトロ求める中高年に照準

豪遊求める富裕層には不向き


 
北朝鮮への中国人団体旅行が4月12日から開始され、1ヶ月以上が過ぎた。中国人富裕層の海外旅行は受入国にとって外貨獲得の絶好のチャンスだが、朝鮮戦争以来、「血の同盟」を結ぶ北朝鮮をレトロ風に懐かしむ中高年に根強い人気がある一方、豪遊したい富裕層には細かい行動規定で満足度が低く、効果は不透明なままだ。(深川耕治=2010年5月17日記)

貴重な外貨獲得どこまで
金剛山ツアーで巻き返し図る


中国康輝旅行社(本社・北京)の北朝鮮ツアー紹介のウェブサイト。3泊4日と4泊5日のツアー参加者を募集している
 解禁日の4月12日、北京や瀋陽から朝鮮戦争に参加した元兵士24人を含む第一陣約約400人が訪朝。7泊8日の同ツアーには北京、天津、上海、遼寧省、吉林省、黒竜江省、広東省など10省市の観光部門担当者も含まれる大規模のものだった。同20日には浙江省から約500人が鉄路で平壌へ出発し、盛大なスタートを切った。

 北朝鮮側は90人の中国語が堪能なガイドを準備。中国衆信旅行社が売り出した「懐かしの北朝鮮6日間の旅」では、中朝国境の鴨緑江に架かる「中朝友誼橋」や韓国との軍事境界線である38度線の見学も含まれ、家族が朝鮮戦争に参加したなどの経験がある中高年にとっては関心が高いツアー内容だ。

 4月13日に出発した広東省からの初ツアーは参加者20人。年齢は26〜69歳で大半が50〜60代の中高年だ。ツアー費用は4泊5日で4000〜6000元(1元=13円)前後となっている。

 北朝鮮国際旅行社の趙成奎社長は「中国人旅行客には平壌、開城、妙香山、南浦などを含めた多様なツアーを準備している。今年、平壌に受け入れる中国人観光客数は3〜4万人程度で年々増えている」と胸を張る。

 北朝鮮観光の取り扱いは旧来、遼寧省丹東など中朝国境地域の旅行社に限定されていたが、昨年10月、温家宝首相が訪朝して団体旅行開始で基本合意、ようやく4月12日から解禁となった。

丹東中国国際旅行社の北朝鮮新義州日帰りツアー紹介のウェブサイト
 北朝鮮は1988年から中国人観光客を受け入れ始めたが、一般人の場合、遼寧省や吉林省の北朝鮮に接する一部の都市から往来する限定的なものだけだった。

 平壌を訪れる中国人観光客は年平均2万人前後で最多でも5万人。遼寧省丹東と接する新義州へ訪れる中国人観光客は年平均約2万人程度だ。北朝鮮が1年間に受け入れる外国人旅行客の9割以上は中国人で欧州からの観光客は約千人規模。日本からは500人足らずだ。

 今回、北朝鮮への団体旅行ツアーを許可されたのは中国国際旅行総社、康輝旅行社、中国旅行社など8社。康輝旅行社の北朝鮮・韓国ツアー担当者は「2年前に北朝鮮を訪問した時と現在は北朝鮮ツアーの観光環境や訪問都市の建設状況に大きな変化はない」としている。

 しかし、ツアーに参加する場合、平壌行きの飛行機が北京と瀋陽の2空港のみ発着と限定されていることや入境できる旅行客数が制限され、平壌市内で中国人が宿泊できる4つ星クラスのホテルが一カ所で収容人数が1000人以内ということも「ツアーが予想より振るわない理由」(康輝旅行社の北朝鮮・韓国ツアー担当者)のようだ。

 香港中国旅行社済南分社の楊田副社長は「北朝鮮の民衆の生活は衛生的で娯楽施設が少ない分、精神面で良好。街中に自動車が少なく、大気汚染がない元来の風土特色がそのまま残っている」と評価。一方で自由な活動時間はなく、北朝鮮の政治、経済、指導者の批評はできず、パソコン、携帯電話の所持、短波放送受信など一切禁止されており、午後8時以降のホテルからの外出も禁止されているため、富裕層の観光客には規制が多すぎて不満が多く、豪遊したい富裕層には不評でツアー参加者数が伸びない要因でもある。

丹東中国国際旅行社の北朝鮮(平壌・妙香山・開城)3泊4日ツアー紹介のウェブサイト
 中国の大手旅行代理店である中国康輝旅行社(本社・北京)は5月29日出発の3泊4日ツアーをネット上で募集しているが、参加人数はわずか定員16人(参加費用は一人当たり4280元)。平壌行き便が北京や瀋陽からしか出発しないデメリットが大きく、広東省中国青年旅行社では5月下旬にはネット上で募集を行っていない状態だ。

 8月中旬から10月上旬には観光客に人気の高いアリラン祭りやマスゲームが平壌で開催されるので、北朝鮮ツアーの指定業者は新たなツアー企画で中国人観光客の集客巻き返しを図る見込み。

 韓国海軍哨戒艦「天安」沈没について韓国世論は北朝鮮関与説が強まる中、中国は中立を装いながら北朝鮮を擁護するスタンスを崩していない。韓米同盟強化をけん制する中朝両国の思惑が一致しているため、北朝鮮の核開発については同国への圧力を最小限にとどめる立場だ。

中国人観光客が宿泊する4つ星クラスの平壌市内のホテル
 北朝鮮は現在、平壌、開城、妙香山を外国人観光ツアーにテストケースとして開放し、観光投資のために開城経済特区を建設して新たな観光業振興を準備しているが、北朝鮮側から縛りの少ない具体的な新たなツアー許可などは出ていない状態が続く。

 中国側としては香港・マカオへの団体旅行、個人旅行解禁のような形で北朝鮮へのツアーも解禁してほしい期待感があるが、国情の違いから大規模な観光投資は足踏み状態。金剛山ツアーの準備で巻き返しを図っている。

 韓国との共同事業だった北朝鮮の金剛山と開城観光は2008年に発生した韓国人観光客射殺事件で中断。大きな外貨獲得のチャンスを失った。北朝鮮は中国人団体旅行解禁翌日の4月13日、金剛山観光地区の韓国側資産を一部凍結。同23日には韓国側資産を没収して新事業者に使用させる談話を発表し、早期の事業再開に応じない韓国に揺さぶりをかけ、中国人団体旅行の解禁を機に中国人の金剛山観光ツアーを認める動きが本格化している。4月からの中国人団体ツアー解禁は金剛山ツアーを見越した準備段階との見方もある。

上海万博で展示された北朝鮮パビリオンの内部=深川耕治撮影
 上海万博には北朝鮮館が中国側の資金支援によって初出展され、中朝関係の良好さをアピール。北朝鮮の金正日総書記が5月7日で5日間にわたる訪中を終えたのと重なるように、6〜9日は北京で北朝鮮歌劇「紅楼夢」が198人の劇団員によって上演され、その後、上海、フフホト、長沙、武漢、重慶で巡回公演しながら中朝両国の文化交流を深めている。

 北朝鮮は2012年までに「強盛大国建設」の目標を掲げ、金正日総書記は「目標達成には精神力が重要」と繰り返し強調している。折しも6月には南アフリカで開催されるサッカー・ワールドカップに北朝鮮が44年ぶりに出場。ブラジル、ポルトガル、コートジボアールという強豪を相手に一次リーグ突破を精神力で挑む覚悟だ。国力増強のために外国人の観光ツアーによる外貨獲得だけでなく、文化、スポーツを通して強盛大国を目指す北朝鮮の動向は核問題で危機をはらむ北東アジアの平和と安定にとって注目を集め続けそうだ。

 




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