大珠江デルタ経済圏の形成へ
香港・広東省が役割明確化
 董建華・行政長官は七月三十日、広東省政府幹部と今後の発展の方向性について新たな
共通認識を得たことを明らかにし、香港は金融業や物流産業、広東省は製造業の発展に注
力するといった産業上の役割分担を明確に示した。これは張徳江広東省党委書記が示した発
展戦略に基づくもので、それぞれの優位性で相互補完を図り「大珠江デルタ経済圏」を形成す
る方針である。

☆★☆香港は金融・物流
★☆★広東省は製造業

 張徳江広東省党委書記は先に、着任から半年を経て「大珠江デルタ経済圏」の発展に関す
る新たなコンセプトを打ち出した。このコンセプトとは広東省が製造業の強化に徹し、国際物流
業務の開拓は香港に譲るというものだ。七月二十四日付の「星島日報」によると、先ごろ開催
された広東省政府の常務会議で黄華華省長は今後の重点産業として、観光業、飲食業、サー
ビス業といった第三次産業と、石油化学、紡織、食品、建材、製紙、医薬品、自動車という九
大製造業を挙げた。かねてから重点産業とみられていた物流業はこの中に含まれなかった。

 七月三十一日付の「香港経済日報」によると、張書記は着任早々の今年初め「珠江デルタの
各市、各鎮が自身の発展だけに注力し、科学的な位置付けを軽視したとすれば、地域として
の競争力は向上しない」と語り、珠江デルタは各都市間でやみくもな競争を行っていると批判し
た。さらに香港との協力を推進して「大珠江デルタ経済圏」を形成することも早くから提唱して
いた。

 特に張書記は、広東省を生産拠点とし香港を輸出基地とする従来の関係をあらためて重視
しているという。前任の広東省幹部らは、改革開放政策が打ち出されて以来二十年間続いて
きたこの関係について変革を提唱しており、近年では広東省各地が香港への依存から脱却す
る姿勢が見られていた。

 しかし張書記は、この変革の動きが始まってから港湾、空港、展示施設の重複投資が行わ
れていると指摘、域内での悪性の競争を招いたとみている。珠江デルタに五カ所の国際空港、
五カ所の大規模港湾エリアが出現したのは、一部都市が輸出基地としての香港に取って代わ
ろうとしたためで、その過程で多大な資源が浪費されたと指摘している。

 かつて浙江省党委書記を務めた張書記は、長江デルタで各地域の協調を図り急速な経済
発展に導いたとされることから、珠江デルタでもその手腕が発揮されることが注目されている。
二十四日付の「星島日報」で政府関係者は、張書記の方針は中央政府の同意を得ており、中
央政府を背景にした遊説で各地方幹部の支持を取り付けたことを明らかにしている。

 また、長江デルタが上海市を中心としていることが明確であるのに対し、珠江デルタでは中
心的立場が明確化されていない問題もある。張書記が打ち出した方針はこの問題にも明確に
回答するものといえる。広東省当局ではすでに、香港が珠江デルタでの物流、金融、ひいては
全体的な経済発展の中心となるとの認識ができているもようだ。

☆★☆港襖珠大橋でも共通認識

 董長官は七月十九日に北京市に赴いて温家宝首相と会見した際、港珠襖大橋(香港、珠海
市、マカオを結ぶ橋りょう)、香港−深セン−広州開高遠鉄道、香港と広東省のコンテナターミ
ナル建設に関する調整について話し合い、温首相はこれらのプロジェクトが香港の今後の経
済発展にとって重要な意義を持つと認識していることを確認した。これらインフラ建設について
中央政府の支持を取り付けたもようで、董長官は「八月五日に開催される広東省香港合作連
席会議では一連の具体的な事項が決定される」との見通しを明らかにした。

 また、かねてから港珠襖大橋の建設に消極的な態度を取っていると伝えられる広東省当局
は、同橋りょうが広東省西部の経済発展をけん引するとの認識から香港との協調路線に転じ
たもようだ。胡錦濤国家主席や温家宝首相は特に国内の東部と西部、沿海部と内陸部の経
済発展が不均衡である問題を注視している。広東省内にもこの縮図があり、広東省が直面す
る経済調整の問題はこの中央政府の方針と一致する。

 三十日付「香港経済日報」で広東省政府幹部の関係者は「港襖珠大橋が完成すれば、国際
的な資金が香港を通じて広東省西部に流れ込むことが期待できる。また広東省西部の製品が
香港を通じて輸出され、産業の向上を促す。こうした要素が、一度は停滞した同橋りょうの計
画を後押しすることになった」と語っている。
(03年8月8日記)


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