中国:CCTVが24時間放送のニュース専用チャンネル
    5月から開始し、巻き返し図る

◆柔軟な鳳凰衛視台

 引退が惜しまれる中国の朱鎔基首相が一九九八年三月、首相就任時の記者会見の際、女
性記者の問いに「君の番組はよくテレビで見ている」と語り、一躍有名になったのは香港の中
国系衛星テレビ局「鳳凰衛視台(フェニックステレビ)」の花形女性キャスターだった。

 中国内では、党の権威と政治色が強い官営テレビ局である中国中央電視台(CCTV)と比較
して、鳳凰衛視台の番組は肩肘(ひじ)を張らずに見ることができるという点で、海外の留学生
だけでなく、知識階層や富裕層、衛星放送が受信できる一般人民にもよく視聴されている。

 人気の理由は、例えば一昨年九月十一日の米同時多発テロが発生した際、CCTVは意図
的にすぐに取り上げなかったのに対し、鳳凰衛視台はすぐに番組を変更して報道を繰り返すと
いう臨機応変の対応をとった。

 党の宣伝色が強いCCTVでは台湾を中国の一部として「台湾省」と呼び、陳水扁総統の顔す
らほとんど出ないが、鳳凰衛視台では陳総統や与党・民進党、台湾政局の動きについても頻
繁に報道する。こうした姿勢が同局の親しまれる要因でもある。

◆官営局が商業色出す

 CCTVと言えば、十二のチャンネルを持つ国内唯一の国家級テレビ局であり、一昔前までは
人気ドラマやスポーツ番組の放映権などは独占状態だった。

 だが、最近では政府からの予算が年々減り、運営経費の約七割は広告収入に依存せざるを
得ない異変が起きている。さらには地方放送局や衛星放送局、有線テレビ局との過当競争に
さらされ、CM料が値下げされ、台所事情は苦しくなる一方だ。

 最近は、鳳凰衛視台が時事・経済ニュース専門チャンネルの中国内での放映権を獲得した
ことに対抗、CCTVは二十四時間放送のニュース専用チャンネルを五月から開始することで
巻き返しを図ることになった。

 CCTVにとって十三番目のチャンネルであり、中国初のニュース専門チャンネルとなるが、ど
んな内容かは明確になっていない。

 CCTVのプロデューサーの一人は「鳳凰衛視台がいくら伸び盛りといっても、広告収入はCC
TVの十分の一に満たず、脅威にはならない」と悠長だが、独占体制だったCCTVの経営体質
は大型国有企業の改革のように大胆な生き残り策が急務となった。

 その目玉として、CCTVは先月、制作と放送を分離する管理手法を導入、ニュース以外のチ
ャンネルで広告収入や視聴率によって番組存続を決める市場採算方式を採用した。

 CCTV側は番組枠とCM放映枠だけ提供して制作費は一切出さず、外部のドラマ制作会社と
広告スポンサーの協力で経費を調達、視聴率を番組存続の客観的目安にする商業主義に大
転換。欧米流のテレビメディアと同様の商業化、視聴率次第による広告収益主導の市場化が
進み始め、他の国内各局にも革命的な経営刷新が図られそうだ。

◆海外テレビに対抗

 とりわけ、“地殻変動”でテレビ局激戦区となっているのが広東省だ。珠江デルタ地帯ではほ
ぼ全域で香港のテレビ放送が受信できるので、視聴占有率は、従来、香港の無線電視(TV
B)、亜洲電視(ATV)が一位と二位を独占していた。

 だが、視聴率調査会社ニールセンによると、今年の春節(旧正月)期間の視聴占有率調査
結果では一位・TVB(36・2%)、二位・南方電視台(16・4%)、三位・ATV(15・3%)となり、
広東省の新興テレビ局「南方電視台」が急速に視聴率を上げて二位に浮上した。

 開局一年を過ぎたばかりの南方電視台が急成長したのは、広東省内の外資系企業から積
極的に広告料を出してもらい、斬新なCMと番組編成が功を奏したからだ。

 同省では昨年来、星空、華娯、鳳凰衛視台など台湾や香港の衛星テレビや有線テレビが進
出し、競争が激化した。その中で、独自色を積極的に打ち出す南方電視台は荒波を乗り切っ
て海外メディアに対抗できる地方新興局として注目されている。

 (03年3月15日記)



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