中国 :マードック氏が広東省上陸
    広州勢、合併で生き残り

 海外メディアの国内参入に厳しい規制を行ってきた中国政府は、経済特区形式のような「メ
ディア特区」を広東省内に限定制定し、海外有力テレビメディアを含む三十社以上が同省内で
支社を設けて業務参入する許可を下す準備を進めている。

 中国が世界貿易機関(WTO)加盟をきっかけに国内企業を外国企業と対等に競争させる
“開国”を断行したのに続き、「メディア特区」を広東省に置いて域外メディアを間接参入させ、
緩衝期を設けて国内メディアの生き残り強化へ本腰になる動きだ。

 昨秋の段階で参入に名乗りを上げたのは、米娯楽メディア最大手AOLタイム・ワーナー社や
「豪州のメディア王」といわれるルパート・マードック氏傘下の香港の衛星テレビチャンネル「ス
ターTV」などだった。すでにAOLタイム・ワーナー社は昨年末あたりから中国内の主要メディア
を視察しながら中国の市場調査を本格的に始めており、マードック氏傘下のスターTVはタイ
ム・ワーナーが大株主の華娯電視を通じて先月末から広東有線テレビネットで放送を開始した
ばかりだ。

 マードック氏といえば、香港最大の英字紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」を買収した
かと思うと、すぐ手放して、今度は香港の「スターTV」を買収。最終目的は中国市場への参入
であることは明らかだった。

 そのマードック氏の息子が三月二十八日、広東省の省都・広州を訪れた。目的はスターTV
の広東省内での放映開始セレモニーのためだ。ちょうど同日、広州の大手日刊紙「広州日報」
は二億元(三十二億円)を投じて新社屋を運用開始し、敵対心を燃やした。

 これが正式な形での外国メディアによる国内メディアへの“宣戦布告”となり、国内メディアに
も地殻変動が起こった。ここ一年、広州メディアは熾烈(しれつ)な生き残り競争が激化、党中
央宣伝部は今後五年間、国内メディアの合併による生き残り策で海外メディア参入に耐え得る
道を奨励、すでに合併による強化の方向に向かい始めている。

 スターTVの放映開始記念晩さん会で広東省のメディア担当官僚の一人は川ヘビとチョウザ
メの例え話を使って国内メディアの生き残り強化策を明かした。

 「かつて北京人は南方の川ヘビは搬送の途中で死んでしまうので食することができなかっ
た。だが、川ヘビを水瓶に入れ、そこに天敵のチョウザメを入れると、川ヘビは必死に逃げ回
って生き延びようとし、北京に着くころには龍のように生き生きと元気になる」という。

 川ヘビは中国内メディア、チョウザメは国内市場に参入する海外メディアを指しているのだ
が、不思議な説得力を持つ例えだ。

 今後の生き残りの道として収益の振るわない広州電視台と日刊紙「広州日報」の二社合併、
夕刊紙「羊城晩報」と日刊紙「南方日報」、南方電視台の三社合併が現実味を帯びており、合
併を嫌がる三大新聞メディアはさらに部数拡大で熾烈な競争期に入り、存亡をかけた天下分
け目の戦いとなりそうだ。

(2002年4月30日記)





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