SARS後、成約高過去最高
−中国最大の貿易フェア「広州交易会」−
輸出品に二極化現象

 中国広東省の省都・広州市で開催された国内最大の貿易フェア「第九十四回中国出口商品
交易会(広州交易会)」が十月三十日に閉幕した。今回の来場者数は十五万人余りに上り、過
去最高を記録。成約高も過去最高の二百四億九千万jで、新型肺炎(重症急性呼吸器症候
群=SARS)が発生する前の第九十二回に比べても一一・六%増となった。成約最多だった地
域は欧州連合(EU)諸国で次が米国。目立ったのは中東諸国のバイヤーが香港から中国本
土にシフトして急増していることだ。(中国広東省広州・深川耕治、写真も=03年11月6日記)



▲広州交易会の会場で記念撮影する参加者たち
=深川耕治記者撮影(許可なく転載を禁止)

■SARS禍のつめ跡、今回は挽回

 広州交易会は中国最大の輸出製品見本市。中国の輸出額の約一割を占める重要な経済イ
ベントとして毎年、四月と十月の二回開かれている。広州交易会の胡楚生秘書長は「先回、S
ARSで欠席した欧米のバイヤーが今回はこぞって参加し、欧米の参加者が安心して足を運ん
でくれたことが盛況の要因」とにこやかだ。

 先回、四月十五−三十日に開かれた際は九千百二十八社が出展登録。だが、広東省は当
時、SARSが猛威を振るっていたため、直前に外国企業など一千社以上が参加を取りやめ
た。それでも、中国側は面子を守るために「安全宣言」を理由に開催を敢行し、成約額も前々
回の約一八%に留まり、SARS直撃の悪影響は惨憺たる結果をもたらした。

 しかも先回は、参加した浙江省杭州市の女性会社員がSARSに感染していることも判明、会
社員に接触した杭州市民五百人が隔離されたことは苦すぎる教訓となり、今回、会場内の各
食堂では調理師らがマスク着用を義務づけられた。


▲広州交易会の会場内にある食堂では店員がSARS防止の
マスク装着=深川耕治記者撮影(許可なく転載を禁止)

 今回(十月十五−三十日)は過去最高の一万百九十五社が出展。展示内容としては家電、
アパレル、機械、バイク、家庭用品、原材料、医薬品などが人気が高かった。成約高で見る
と、機械・電気製品が最多で八十二億j。会場内のパソコンによる電子商取引「プラットホー
ム」や国際購買センターにも注目が集まり、国連による購買説明会には多数の企業関係者が
集まった。

■中国家電、欧米に評価高く

 今回は成約高が過去最高で二百四億九千万j、最多はEUで六十一億j、次が米国で三
十六億j。欧米は前々回に比べて約三割増となり、とりわけ人気の高いハイアール、康佳(コ
ンカ)などの家電製品の成約が大きな割合を占める。

 ハイアールは洗剤不要の新型洗濯機を展示、多くのバイヤーが興味深く説明を聞き、成約
手続きを行っていた。ハイアールの説明員は「わが社は知名度が上がり、特段PRしなくても欧
米企業が買い付けに来る。成約高はすでに一億三千万jを越えた」と自信満々。欧米で高い
評価を受ける中国の家電業界が輸出品の牽引役となっていること広州交易会でも示した形
だ。


▲欧米企業に高い評価を受けるハイアールの展示ブース。
ハイアールのマスコットも笑いを振りまく=深川耕治記者撮影(許可なく転載を禁止)


■目立つ中東諸国のバイヤー

 成約高の最多を占める欧米に比べ、地味ながら成約件数を伸ばしているは中東諸国のバイ
ヤー。とくに成約高が多いのは日常生活品、家電、携帯電話、パソコン、バイク、自転車など
だ。イラク戦争後、物資補給を広東省の珠江デルタ地帯から購入しようとの動きが加速、香港
を中継貿易地点としていた中東のバイヤーが広東省内に貿易会社を移し、細かい商取引を本
格化させてきていることが影響している。

 今回、広州交易会に参加したクエートの貿易商(45)は「最近、中東に入る電卓、日常生活品
などは中国製が増え、とくに広東省から輸出されたものが多い。今回の貿易フェアでもブース
エリア外にわざわざイスラム用の礼拝室を設ける出展企業が増えたのは喜ばしい」と話す。


▲医療・漢方薬ブースではSARS抗菌用のマスクや衣服の展示も
=深川耕治記者撮影(許可なく転載を禁止)


■中東、アフリカへの流通網拡大

 中東のバイヤーと共に急増しているのがアフリカ諸国のバイヤー。今回の交易会でアフリカ
の参加者は四千百二十二人で過去最高、前々回より四一・二%も増えている。西アフリカ・ギ
ニアの貿易商は「中国製品をここで買い付けて中東で売り、欠陥品や売れ残りはアフリカでさ
ばく。欧米や日本では中国の模造品が問題になっているようだが、アフリカでは模造品でも希
少価値があり、完売される」と強調、流通ルートを明らかにしてくれた。
 
 中東、アフリカの貿易商が最近、広東省内で企業を立ち上げるケースが増えているのは中
国から中東、中東からアフリカへの流通ルートが確立し、コストを減らすために香港から中国
本土へ貿易中継点を移す中東やアフリカの貿易商が増えているからに他ならない。

 今回、出展した浙江省の日常生活品を製造販売する企業は「日本のバイヤーはアパレル関
係しか関心を持っていないし、細かいクレームばかり指摘する。中東やアフリカのバイヤーは
成約額が大きく、品質的なことでクレームを付けたりしないので取引がしやすい」と本音を語
る。

 高い経済成長を誇ることから「世界の工場」と呼ばれる中国は、欧米にも認められる家電関
係の企業群と中東、アフリカに輸出する企業群との二極化が進み始め、新たな地殻変動を示
すSARS後の貿易フェアとなった。


▲会場内のパソコンによる電子商取引「プラットホーム」
=深川耕治記者撮影(許可なく転載を禁止)

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