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沖縄のカジノ構想、華僑が提言 マカオ
国際華商経済貿易会議で発表

 九九年十二月にポルトガル領から中国に返還された人口四十四万人の観光都市、マカオ。
返還から四年が過ぎようとするカジノの街は、景気低迷の香港と比べて安定した経済発展を
続ける。十月下旬、毎年恒例のマカオ国際貿易投資展覧会が開催され、その一環で「マカオ
国際華商経済貿易会議」も開かれ、日本の華僑代表が沖縄県のカジノ構想を紹介。中台貿易
の中継基地となりうる地の利とカジノ構想の魅力を訴え、各国の華商に積極的な投資を呼び
かけて注目を集めた。(マカオで、03年11月19日記)


▲マカオ国際貿易投資展覧会では最新のカジノグッズも展示

■各国の華商へ投資呼びかけ

 中国返還直後、都心部に中国人民解放軍が駐屯したマカオでは、返還前の黒社会(暴力
団)抗争が解消されて治安が安定、黒社会の最大勢力「十四K」のボス、尹国駒が服役中のた
めに表立った抗争はほぼ皆無となった。

 〇二年二月に十四Kと別の黒社会の小さな抗争が発生して以来、事件らしき事件はない中
で今年十月二十一日早朝、ヤオハン百貨店近くのマカオ料理店に銃弾三発が打ち込まれる
騒ぎがあったが、警察も厳戒体制を取るようなことはしなかった。

 同二十二日、マカオ青年企業家協会の成立式典が行われた際も、マカオ特別行政区政府ト
ップの何厚●(かこうか)行政長官は常時三人の警護員を従える原則を破り、警護員なしで
堂々と談笑。青年企業家の一人は「マカオは中国支配で治安が格段に良くなり、黒社会の裏
事情に精通している何長官が完全掌握しているので、小さな騒ぎはまったく問題にならない」と
話す。

 何行政長官の任期(一期五年)は残り一年余だが、再選確実な状況で対抗馬すら見当たら
ない。香港の董建華行政長官と好対照で、支持率が六〇%台で非常に信任度が高い。これま
で一律無税だった公務員に対して有税措置を取り、一般市民の税率を下げ、年間所得が一定
以下の場合、無税になるケースが急増する措置を取ったからだ。全体の税収は減るが、投資
すべき観光業には観光局は巨額を投じて宣伝をし、マカオの経済情報なども非常に細かい情
報サービスを提供するようになり、対外的にも評価が高まっている。

 香港が失業率八%を突破し、若年層の就業率が下がる中で、マカオは失業率六・三%前後
を維持。香港で重症急性呼吸器症候群(SARS)が猛威を振るった時もマカオはテング熱の感
染防止措置が奏功、SARS感染者数がきわめて少なかったことも執政への高評価に直結して
いる。

 そんな順風満帆の中、「マカオ国際華商経済貿易会議二〇〇三」(主催・世界華商組織連
盟)が十月二十二日に行われ、于平中国国際貿易促進委員会副会長や台湾工業総会特別
代表、李炳康マカオ貿易投資促進局主席らがあいさつ。第一部では、香港やマカオで中国政
府と結んだばかりのCEPA(緊密な経済貿易協定)についてビジネスチャンスや資本市場との
融合応用、世界各国の華商の活動への作用、日本との経済貿易協力の契機について討議さ
れた。

 その最後で台湾系華僑の日本中華工商総会名誉会長、杜万齢氏は「華商と日本経済協力
の契機」と題して講演。第二次小泉内閣の経済政策や沖縄の経済再生策、それに対する華商
の投資チャンスについて話した。

 とくに今後に期待される優遇投資政策として沖縄県を中国や台湾企業の不動産投資、観光
リゾート施設投資の拠点とし、神戸中華街で施行されて三年が過ぎた免税政策も参考にでき
ると強調。沖縄の経済団体が積極的に提案する同県内の島にカジノを開業して経済復興させ
る構想を華商の投資で支援することや、そのために中台貿易の中継点となるマカオのカジノ視
察がノウハウ作りに不可欠であることなども指摘した。

■華商の仲裁センター設置も

 また、世界各国の華商間のトラブルを仲裁するセンターをマカオに設立の提案もあり、参加
した約五百人の華商たちは同提案の実現に積極的な姿勢を見せ、具体案の討議にも熱がこ
もった。このほか、中国民営企業会議も行われ、中台の経済協力が幅広く話し合われ、マカオ
の特殊な地の利が観光業以外で生かされる可能性が広がりそうだ。
●=金ヘンに華


儒教道徳忘れ去る留学生
華僑は沖縄に投資を

 杜万齢・日本中華工商総会名誉会長に華僑の日本への投資環境を聞いた。
 ――参加者は日本の中国人留学生問題に関心を寄せていたが。
 「福岡の一家惨殺事件のように、日本での中国人留学生犯罪が深刻で、中国人として心痛く
恥ずかしい。私も早稲田大学政治経済学部に留学し、日本滞在歴がもうすぐ五十年になる
が、昔はこうではなかった。中国人の古き良き気質である孔子孟子の教えを引き継ぐような道
徳観、倫理観を大切にしないといけないし、中国人留学生には、昔はそういう言葉にしない誇
りがあった。最近は拝金主義がまん延し、二十代の中国人は、一人っ子政策の影響を最も受
けた世代で、親から甘やかされ、兄弟がいないのでわがままが多く、孔子孟子の教えに従うよ
うな家庭教育にはなっていない。日本に滞在する若い世代の中国人が深刻な犯罪を犯す背景
はこの点が大きいので日本に留学する前にきちんと再教育して送り出す新たな体制作りが不
可欠だ」
 ――日本人の長所は。
「日本人は何かを買い求める時、かならず一列にきちんと並び、横から割り込むようなことはし
ない。中国人はそういう部分を見習うべきで、他のアジア人、世界各国からも尊敬される本来
の中国人の美徳を持つべきだ」
 ――今後の日中の経済協力、日台中の経済貿易関係において、沖縄県の果たすべき役割
は。
「以前は石垣島を中継基地のような形にする構想があったが、最近は沖縄本島で中継貿易基
地を創る動きが出てきている。これを実現するには巨額の投資が必要で、世界各地の華僑に
協力を呼びかけたい。日本でも横浜中華街、神戸中華街、長崎中華街などで華僑ががんばっ
ている。とりわけ、三年前から神戸中華街では中継貿易の構想が実践され始め、良い兆候が
見え始めている。講演でもその点を紹介した」

▲杜万齢・日本中華工商総会名誉会長(右端)

【杜万齢氏】 早稲田大学政治学修士、東京大学国際政治学博士課程修了。国士舘大学
で十二年間教鞭を執り、日本中華連合総会常務副会長、東京華僑総会長などを歴任し、現在
は日本中華工商総会名誉会長、世界華商組織連盟主席。

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