連載 北京五輪と中国



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北京五輪と中国 (12)

映像技術革新で地殻変動

香港映画も原語上映へ

picture 北京国際放送映画テレビ設備展覧会では日本のハイビジョン映像技術への評価が高かった。写真は日立の展示ブース

 八月下旬、北京市内で第十三回北京国際放送映画テレビ設備展覧会が開かれ、内外の放送設備企業が参加した。主要テーマは来年の北京五輪でどのような映像、放送技術を駆使できるかだ。日本からも日立やソニー、パナソニックなど大手企業が北京五輪を機に大きく成長するテレビ放送技術に力を入れ、中国各地から出展するテレビ局に広範な宣伝を行う姿が印象的だ。

 パナソニックはロサンゼルス五輪(一九八四年)以降、家電部門で五輪オフィシャルスポンサーを続け、同展示会でも日本の他社より大きなブースを借りて映像技術を徹底的に売り込む。

 「プロ用ビデオのデジタル録画チップとしてわが社のP2技術が中国の各テレビ局に導入される動きが加速している。テレビ放送の作り手だけでなく、北京五輪を機に映像のHD(ハイビジョン)化が一気に進む可能性があり、中国内での協力は惜しまない」

 出展を手掛けたパナソニック事業推進グループの座間隆司チームリーダーは、SDメモリーカードをベースに小型化、大容量・高速転送を実現したプロ用ビデオカメラのメモリーカード・P2が中国内のテレビ局で積極的に導入される動きに手応えを感じながらこう話す。

 懸念されるのは偽造品の氾濫(はんらん)問題だが、P2技術はレベルが高く、偽造コストが掛かり過ぎて困難だろうと予想している。ビデオカメラ用バッテリーや電池についてはシリアル番号確認が完了したものでなければ使用できないシステムを開発して偽造防止を徹底する計画だ。

 「中国はテレビ番組の再放送が多く、録画文化が浸透していない。一度しかない北京五輪を美しい映像で録画しようとの一般国民の意識が広がればHD録画機器は急速に販売が進むこともあり得る」と同社ブランドプロモーショングループ(中国担当)の高橋幹主事は巨大商圏・中国での千載一遇の機会に期待を膨らます。

 中国政府は二〇〇八年までに国内の一部地域でデジタルハイビジョン放送を開始させ、一〇年までにデジタル放送を基本的に実現、一五年までにアナログ放送を廃止する方針。デジタル放送やハイビジョン技術で先行する日本の家電メーカーはデジタル放送化が本格化し始める中国での売り込みを拡大している。

 映画業界も技術革新で大きく揺れている。米国を中心にフィルム映画からデジタルシネマへの転換が進み、中国内の映画館もデジタルシネマの移行に前向きだ。中国で唯一、デジタルシネマの放映技術を持つ時代今典集団は同展示会でデジタルシネマ放映の「ハルピン・科視蒙太奇DCI―2K」という新技術を初めて紹介した。

 一方、巨大な中国の映画商圏に香港映画業界も規制緩和を駆使して参入。中国内のテレビ、映画を統括する国家放送映画テレビ総局は七月末、香港映画作品を広東語バージョンのまま広東省内で上映することを全面的に許可する方針を決めた。広東省は香港と同じ広東語の言語圏だが、これまでは香港映画作品を中国本土で上映する場合、標準中国語に吹き替え、内容も厳しい検閲で編集し直すケースが多かった。

 しかし、香港が一九九七年、中国に返還され、香港と中国本土の経済貿易緊密化協定(CEPA)が締結されて以降、規制緩和が進んでいる。香港メディアでは「今年は“広州映画特区”が実現したかのようだ」と、このところ低迷する香港映画の新たな振興策として期待している。

 (深川耕治、写真も=07年9月20日記)

=おわり=




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