連載 北京五輪と中国



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北京五輪と中国 (5)

サッカーアジア杯の教訓どこに

日本国歌に鼻歌 野球プレ大会

picture 野球の中国代表チームを熱烈に応援する中国人たち

 北京は五輪一年前の八月、「好運北京(グッドラック北京)」と題して各種競技のプレ大会が続々と開催され、会場での入場整理、セキュリティーチェック、突発的なトラブルへの対応などでも本番さながらの対応を行った。

 「好運北京」の一つとして八月二十三日、市内の五●(「木」へんに「果」)松野球場では野球の四カ国対抗戦の決勝が行われ、星野仙一監督率いる日本チームは5−2で中国に逆転勝ち。初めて挑んだ国際大会で優勝した。

 初回、中国が二点を先制し、球場に入る八割以上の中国人客が中国応援に熱狂。しかし、二回、日本が四点を奪って逆転すると、日本へのブーイングが強まった。六回、日本の投手が死球を与えた際、中国選手がにらみ付け、中国応援の観客はブーイングで、死球を受けた中国選手のけんか腰の態度を煽(あお)った。

 「これじゃ、完全なアウエー状態。日本の応援を声に出していける雰囲気じゃない」。今夏、中国外交学院で中国語の短期留学を終えて応援に駆け付けた中央大学の日本人学生二人は、中国側ベンチ裏の席で中国人観客の応援マナーの怖さを感じて不満そうに語った。

 その後、中国側スタンドに座って応援していた中国人女性観客の頬(ほほ)に中国選手のファールボールが直撃。バックネットが本塁ベース後方しか張っていないために発生した事故だった。来年八月、北京五輪の野球競技場として使われる同球場は今後、一塁側と三塁側の両方にもネットを設置してファールボールによるけが防止に万全を尽くすことが試合後、決定された。

 会場設営、入場整理などのボランティアスタッフは夏休み中の大学生らが積極的に取り組み、けがが発生しても即時に対応。しかし、応援でのブーイングや過激な行為に対して指導したり、観客の乱闘防止に動くような対策は講じられていなかった。

 優勝が決まり、国旗掲揚式で日の丸が揚がる時、中国人観客らは君が代を鼻歌で歌い、愚弄(ぐろう)する態度が見られた。二〇〇四年八月のサッカーアジア杯の日本対中国の決勝戦で日本が勝って優勝した際は激しい反日暴動が起き、日本大使館の公使らを乗せた公用車のフロントガラスが破壊される事件にまで発展。当時、アジア杯で日本が勝つたび、試合前の日本の国歌斉唱の際、ブーイングが鳴りやまないなどマナーの面でも改善が不可欠、と指摘された。だが、北京五輪を一年後に控えたプレ大会でもマナー改善は進んでいなかった。日本人観客からは不安の声が上がっている。

 「野球の場合、応援方法は自チームが攻め手の時に応援するが、中国人の応援は守りの時も大騒ぎで応援マナーを知らない。試合が終われば日本に対しても拍手したり、応援する姿がちぐはぐ。応援マナーや国旗掲揚時の態度は改める必要がある」と北京でアマチュア野球チームに参加している北京駐在歴二年の日本人男性(31)は話す。

 一方、市内の中国農業大学体育館で開かれたレスリングの北京五輪テスト大会を兼ねた世界ジュニア選手権大会では、各級別に授賞式を行って国旗掲揚を行う際、国旗掲揚スタッフは右手を左胸に当てて敬意を示し、観客全員が起立。優勝国家の国歌を静聴するなど、野球大会とは対照的なマナーの良さが際立った。

 中国選手を応援に来た劉強さん(24)は「格闘技系の競技は、礼儀を重んじるので、国歌斉唱の時にブーイングが起こるなど考えられない。柔道の強い日本を尊敬している」と話した。

(北京・深川耕治、写真も=07年9月11日記)




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