連載 北京五輪と中国



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北京五輪と中国 (6)

フィットネス 五輪バネに飛躍も

大衆への浸透はこれから

picture 中国国際健身(フィットネス)大会での実演は中国のホワイトカラー層に人気があった

 七月末(二十七−二十九日)、北京市内の中国国際展覧中心で中国国家体育総局などが主催して中国国際健身(フィットネス)大会が開催された。欧米や韓国からも出展し、大手フィットネスクラブの経営者らがフォーラムに参加し、今後の中国での健康増進産業の見通しなどを討論。人口十三億人の巨大商圏はスポーツ産業にとっては大きな魅力。各社が一万二千平方メートルの巨大会場に所狭しとフィットネス機材を展示した。

 フィットネス専門紙の記者だった陳聞氏(26)は「一昔前は中国内でフィットネスはホワイトカラー層だけが利用できる限られたものだった。しかし、最近は一カ月二百元(三千円)から三百元(四千五百円)の比較的安いメニューも続々と出てきて過剰競争になり、利用者が増えている」と話す。

 同大会ではトレーナーを使った実演も。流派ごとのヨガ選手権大会やヨガの実践トレーニングも好評だった。中国では古来、気功が健康増進法として幅広く愛好されている。今のところヨガは沿海部の大都市を中心に、OLやビジネスマン向けに広がってきている。

 今回開催されたフォーラムで国際レク・スポーツクラブ協会(IHRSA)が発表した最新調査結果によると、米国でフィットネスクラブやアスレチックジムなどを利用している人は全体の一割であるのに対し、中国ではまだ1%だ。

 IHRSAアジア総監のジョン・ホイシンガー氏は「機材の質の高さやダイエット効果やトレーニングメニューの多彩さ、価格の手軽さを広告媒体を通してもっと積極的に宣伝していく必要がある」と話す。スポーツジムでの健康保険加入で付加価値も持たせる戦略だ。

 アジア体育能協会のケニー・ウォン主席は「フィットネス業界の成長過程は大きく分けて発展、調整、成熟の三段階があるが、中国は発展段階」と分析、発展途上段階であるが故に大きな成長が見込める時期に来ていることを強調している。

 二〇〇五年の調査では中国内のフィットネスクラブ数は千四百六十、〇六年には千七百十九に増えている。地域別では北京が三百五十三、上海が百七十一、深セン六十九、広州五十六、武漢五十五の順だった。

 中国政府は一九九五年、「全民健身計画綱要」を公布し、二〇一〇年までに「体育サービス体系の多元化」を方針として指示。中国オリンピック委員会(COC)の張発強副会長は、新著「全民健身総論」(人民体育出版)で、胡錦濤国家主席が打ち出した「科学的発展観」に基づいて「体育の科学的発展観」を理論体系化し、小康(やや豊かな)社会に向けて健康増進産業の多元的な活性化が重要であることを強調している。

 宝力豪フィットネスクラブの張濤中国エリア総裁は「(規制を撤廃し)フィットネスクラブを、ごく一部の“小衆”のものではなく幅広い消費能力のある大衆のものにしていくべきだ」と語る。

 一般庶民には高過ぎるとの批判が出ている価格面について、中体倍力健身有限公司の万驪華総裁は「(規制で)単一料金であるため、多面的な経営ができていない。美容やプライベートレッスンなど営業計画を積極的に開発する必要がある」と経営改革が不可欠であると指摘する。

 中国ではスポーツくじの売り上げで約三百億元(四千五百億円)を「全民健身事業」活動に投入しているが、室外スポーツへの支援よりも室内スポーツ、特に科学的な健康増進法に力を入れ始めている。

 フィットネスクラブ「カリフォルニア」のスチーブ・クラインフェルター氏は「欧米では、フィットネスはさまざまな批判を受け紆余(うよ)曲折はあったが、最終的には一種の生活習慣にまでなった。二十四年の歳月がかかったが、中国ではその半分の期間で実現可能と信じている」と自信たっぷりだ。北京五輪を機会に、欧米のフィットネス業界が中国進出を本格化させる動きが加速している。

(北京・深川耕治、写真も=07年9月12日記)




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