中国企画記事 特選

2004年7月19日記

貧農人口、昨年は80万人増 中国
自然災害が影響、25年来で初の増加に
 中国の貧農問題が深刻化し始めている。過去二十五年来、減り続けてきた貧農人口は昨年、初めて約八十万人増に転じ、富農と貧農の収入格差も毎年拡大。自然災害が貧農増加と直結している。(04年7月19日記、深川耕治、写真も)

遼寧省復州郊外の農民 国務院(政府)貧困扶助開発指導小組の劉堅副組長によると、年収六百三十七元(一元=十三円)以下の貧農人口は〇三年で約二千九百万人で前年比八十万人増。農民の平均年収二千六百二十二元との格差は一対四・一二となり、一九九二年の貧農対平均的農民の格差である一対二・四五よりも大きく拡大している。

 中国政府は一九九四年に貧困層の救済計画を打ち出し、毎年六百万人の農村部貧困層を最低限の生活レベルまで引き上げて貧農人口を減らし続ける政策をとってきたが、〇一年、〇二年は年間二百万人しか救済できず、〇三年はついに貧農人口が前年比八十万人増となってしまった。

 とくに貧農問題が深刻化しているのは河南省、安徽省、陝西省、黒竜江省の四省で、貧農人口は省別で二百万人を超えている。いずれも自然災害が貧農人口を減らせない主要な原因となっており、沿海部の急速な都市開発の影に農村部や山岳部の森林伐採や開発、環境汚染による自然災害増が背景としてある。

馬で農作物を運ぶ遼寧省盖州郊外の農民 そのほか、湖南省、広西チワン族自治区、遼寧省、吉林省、江西省なども昨年、干ばつなどの影響で貧農人口の増加に影響を与えている。逆に河北省、山西省、内モンゴル自治区、四川省などは貧農人口は減少しており、内陸部でも着実に貧農問題を解決しつつある省区もある。

 劉堅副組長は十六日、貧農対策の座談会で「わが国は過去二十五二年、約二億二千万人の貧困層を救済して貧農問題を解決してきた。残り約三千万人の貧困層は生活環境が劣悪で文化、技術レベルが低すぎるし、住居地域が分散しているので新たな対策に迫られているが、二〇一〇年には基本的な解決を図りたい」と話している。

 温家宝中国首相は、生活水準の底上げへ向けて「小康社会」建設を目指すため、貧困人口の解決強化を今年の政策の重要な柱に据えている。だが、貧農問題以外にも中国内の都市部貧困層は政府の最低生活保障を受けている人が約二千万人、身障者が六千万人に上っており、貧農を含む中国の社会的弱者層は全体で約一億一千万人。沿海部と内陸部の貧富の格差拡大が農村部の不満拡大を助長して社会的安定を損ねかねないと憂慮する温家宝−胡錦濤体制にとっては頭の痛い難題として立ちふさがっている。