連載 変わりゆく香港「一国二制度」10年の実験
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  特集 中華圏の魚食ブームを探る

【中国】海鮮具材が豊富な潮州料理

上海ガニ、蒸しエビ、フカヒレなど

日本人にも合う淡泊な味

 中国広東省の南東部にある潮州市。故●(=登におおざと)小平氏の号令で一九七九年に経済特区に指定されたスワトウ(汕頭)市と隣接し、華僑のふるさととして知られる。香港市民の五分の一が潮州出身者で占められ、有名人では香港一の財界人である長江実業総裁の李嘉誠(リー・カシン)氏、香港の美食評論家として有名な蔡瀾(チャイ・ラン)氏などがいる。


潮州料理の清蒸龍蝦(蒸しエビ)

 海鮮類が豊富な潮州料理は三大広東料理(広州料理、東江料理、潮州料理)の一つとして有名で、市場にはスワトウ港などで水揚げされた新鮮な海産物の食材が廉価で手に入る。香港では超高級広東料理として富裕層が潮州料理レストランで舌鼓を打つ一方、広東語で「打冷店」(ダーラーンディム)と呼ばれる大衆食堂でも安い潮州料理を出すことが多い。潮州に来れば、比較的高級な潮州料理が庶民でも味わえる美食が豊富だ。

 潮州料理の海鮮食材が水揚げされるスワトウ市内の錦泰副食品市場。水揚げされたばかりの新鮮な魚介類がずらりと並ぶ。「今は上海ガニが旬。太刀魚、カレイもおいしい」と仲買人は話す。上海や香港での日本食ブームについて尋ねると「日本料理の店は、この街にはない。海鮮料理と言えば、ここでは潮州料理だけだよ」と答え、潮州料理への誇りと自信は相当なものだ。

 潮州料理は乾物、魚醤(ぎょしょう)、塩などを使って食材のうま味を引き出し、フカヒレや干し牡蠣(がき)などを使い、エビ、貝、フグ、カレイ、太刀魚、上海ガニ、ナマコ、カブトガニ、アワビなどをあっさりした食感で楽しめる。
潮州料理の清蒸龍蝦(蒸しエビ)

 潮州市中心部の金龍ホテル三階にある高級潮州レストランで本場の潮州料理を食してみた。円卓に並べられたメーンディッシュは清蒸龍蝦(蒸しエビ)。直前まで水槽で生きていた大エビを蒸し、プリプリ感が日本の伊勢エビを上回るほどの美味だ。

 フカヒレチャーハンや金不換中竹湯(健康滋養スープ)、コラーゲンたっぷりのガチョウの足の丸焼きなど、潮州料理の淡泊な味わいは日本人にも抵抗なく、よく合う。

 湖南省出身のウエートレスは「日本には回転寿司(ずし)があるというので、一度食べてみたい。魚を刺し身にして食べるおいしさは日本食しかないので中国の若者はとても興味がある」と話す。潮州料理は香港や広東省では一般的な料理として定着し、潮州出身華僑が多いタイやシンガポールでも中華料理の一つとして浸透している。中国本土や香港、台湾での日本食ブームが広がりを見せる中、中華海鮮料理の雄、潮州料理と日本料理がどこまで競合できるか、今後の動向が注目される。

(中国広東省潮州・深川耕治、写真も)