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  特集 中華圏の魚食ブームを探る

【台湾】回転寿司も人気で長蛇の列

北海道産昆布、じわじわ評価

近海マグロも日本産と競争

 台北市内の新光三越(日本の三越が約45%出資する台湾最大の百貨店チェーン)地下二階。食品売り場の一角に二〇〇七年十月、北海道漁連のアンテナショップが開店した。販売するのは道東産の長昆布が中心で、台湾人の食生活に合ったバラエティー豊かな調理法を紹介・試食販売しながら顧客拡大を進めている。


北駅前の新光三越デパートで販売されている北海道産の長昆布

 これまで台湾では中国大陸産昆布の需要が主流で、全体の六割を占めていたが、一気に道東産昆布でナガ葉の市場を回復しようと昨年秋から台北市内の量販店七店舗で道東産昆布の販売活動をテストケースとして実施。〇七年秋から三年計画で販促事業を展開することになっている。

 北海道物産を台湾へ輸入販売する仲介をしているリオン台北支社(本社・札幌)の大石千寿さんは「台湾人は調理に手間を掛けず、安くて手軽に短時間で作れるものを望む。中国大陸産昆布はゆでても長昆布のように柔らかく煮ることも、歯応えのある食感もなく、硬いままなので違いははっきり分かってくれます」と話す。

 北海道への外国人観光客はトップが台湾人で、北海道の認知度も高い。現地での価格も理解している人が多く、高めの価格設定では買い控えもあるため、値段設定は一袋五十グラムで百五十台湾ドル(約五百円)とし、主婦感覚で購入する上限価格に設定。即席カップ麺(めん)のような手軽さを前面に出し、「三分でできて超簡単」を長昆布の魅力としてアピールした。

台北市内の回転寿司店はいつも行列で人気が高い

 イメージキャラクターには台湾で一番人気の料理研究家・蔡季芳さんを起用。蔡さん本人も「本当に料理に必要な食材しか推薦しない」との信念を貫いており、自分の出演するテレビの料理番組でも紹介し、道東産長昆布については太鼓判を押す。

 アンテナショップには長昆布以外にも利尻昆布、日高昆布、乾燥ホタテなども並ぶ。試食販売する台湾人女性店員は「サンマやニシンなどは生臭いと敬遠する台湾人だが、ホタテの昆布巻きは人気が高い。台湾では豚骨や牛で出汁(だし)を取るやり方しかなく、昆布出汁の取り方も教えると喜んで家庭の味として使ってみようとします」と話す。乾燥した長昆布の白い部分は「カビではなく、うま味成分」と丁寧に説明。おでん用や昆布入り海鮮サラダ、昆布の平目巻きなど、和食用に昆布の調理方法をアレンジして試食させながら紹介し、反応も上々だ。

 台北市復興南路にあるブリーズセンター(微風広場)。〇一年十月にオープンした地上九階地下二階の巨大ショッピングモールは一階に世界の一流ブランド店がズラリと並び、ヴィトンの超高級バックを購入したばかりの台湾セレブたちが、地下一、二階にある食品売り場で気軽に買い物する姿がごく自然に見受けられる。

台北市内のブリーズセンター(微風広場)では北海道物産フェアが人気を集めていた

 地下二階の高級感ある食品売り場「ブリーズ・スーパー」では北海道物産展を行っていた。函館ラーメン、イカめし、北海道クリームケーキなどの試食販売が盛況だ。

 食品売り場は常時一万六〇〇〇アイテムの品揃(ぞろ)えで台北市内でも日本食品の豊富さでは定評がある。スーパーマーケット事業部の西川正史シニアマネージャーは「食は文化。単発の物産展よりも重要なのは、地道に日本食を試食し続けてもらい、台湾人の舌に繰り返し学習させて固定リピーターを広げていくことが回り道のようで実は売り上げをアップさせる一番の近道」と話す。

 地下一階の回転寿司(すし)「寿司丸」は、毎日、待ち客で長蛇の列だ。地下二階で販売している日本から空輸したネタをさばいて運ぶ。貝柱、甘エビ、穴子、トロ、卵など大半が日本産だ。台湾では過去十

台北市内の百貨店では台湾産からすみが日本産より安く売っている

五年ぐらいで三度目の回転寿司ブーム。とくに今年に入り、高級ネタを好んで食べることが人気となっている。台湾でも水揚げされる高級マグロは、日本産よりもやや高め。高級食材として各地の五つ星のホテル、高級レストランで出されており、日本直輸入の魚介類と競っている。

 台北駅前にオープンしている居食屋・和民も夕方から盛況。日本の刺し身、すき焼きなど、飛ぶように注文が続く。市内では〇七年八月にオープンした士林店など五店舗を経営し、売り上げも順調だ。

(台北・深川耕治、写真も)