中国企画記事 特選
2007年7月12日記

中国の6世界遺産に改善警告 世界遺産委
過度な開発商業化、保護に逆行


 中国では今年新たに世界遺産として雲南省石林など「中国南方カルスト」が認定され、地元は観光集客アップを見込んで沸き返っている。その一方で中国国内の他の世界遺産のうち六カ所が世界遺産委員会から改善命令を下されるなど、行き過ぎた商業開発で自然の景観維持や遺跡保護を怠っていることが指摘され、世界遺産はく奪の危機に直面している。(深川耕治)


 昨年一月、中国は「中国南方カルスト」として雲南省石林、貴州省茘波、重慶市武隆のカルスト地形を世界自然遺産へ国内で唯一、登録申請し、六月末、ニュージーランドで開かれた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第三十一回世界遺産委員会で正式認定された。中国南方カルストは長江三峡の形成過程などを知るうえで貴重な地質学上の証拠となっており、多彩な少数民族文化が生き続けている。

 石林と同じ雲南省では、〇三年、世界遺産委員会から「雲南保護区軍の三江並流」が中国二十九番目の世界遺産に認定されたが、その後、三江の一つである怒江に巨大ダムと水力発電所が建設され、著しい景観破壊が懸念されている。第三十一回世界遺産委員会でも二十一カ国の代表が同問題を討議し、来年の世界遺産委員会までに改善が見られない場合、「危機にさらされている世界遺産リスト」(危機遺産リスト)に加えられ、世界遺産の称号はく奪につながる処分となることを警告された。

 このような警告は中国の世界遺産でほかに北京の故宮、天壇、頤和園、麗江古城、ポタラ宮の五カ所で指摘されており、今回が六回目の警告。これまでは文化遺産の保存修復が十分でなく危険を伴うことや現地住民の伝統的建物保存などについての警告が主だったが、今回は乱開発をあからさまに警告された形だ。

 中国国家文物局の童明康副局長は「警告の原因は遺産保護に対する経験不足、過度の商業利益追求による乱開発で環境が破壊され、修復技術が世界水準に達していないことなどが挙げられる」と話す。中国政府としては麗江古城、ポタラ宮の修復で保護区を拡大し、保護規格を厳しく整備し直すなどの方針を打ち出した。

 世界遺産委員会から警告を受けているのは中国だけでなく、危機遺産リストには、ガラパゴス諸島(エクアドル)やドイツのドレスデン・エルベ渓谷、ヴィルンガ国立公園(コンゴ民主共和国)、マナス野生生物保護区(インド)などが入っており、世界遺産リストそのものからの除去もありうるとの警告を受けている。