台湾関連情報

2013年1月30日記


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中台「共闘」で日米に対抗 尖閣接続水域
台湾漁船に巡視船伴走
中国監視船3隻も接近
 尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の接続水域に1月24日、台湾遊漁船「全家福」号1隻と台湾海岸巡防署の巡視船4隻が入り、海上保安庁の巡視船が放水して排除しようとしたところ、台湾漁船は引き返して同諸島沖から離れた。接続水域には中国の監視船3隻も入って航行し、台湾船に一時接近して同行後、接続水域を出た。尖閣諸島沖で中台の船が「共闘」したのは初めてで日米連携に対抗する新たな段階に入っている。(深川耕治=2013年1月30日記)

公明代表の訪中時合わせ
放水合戦、漁業権益主張も
漁業協議延期も覚悟か

 台湾の中央通信などによると、台湾遊漁船「全家福」号は伴走している台湾の巡視船4隻と共に1月24日午前11時過ぎ、尖閣諸島・魚釣島の西南西44キロの接続水域に到達し、日本の海上保安庁の巡視船8隻が放水など侵入阻止規制を行った。台湾巡視船も放水したが、午後0時30分には接続水域から離れ、午後5時(日本時間午後6時)には基隆港に帰港した。

 一方、尖閣諸島・魚釣島周辺の別の接続水域には午前9時過ぎ、中国の海洋監視船「海監」3隻が侵入し、一時は台湾漁船から0.3カイリ(約555メートル)付近まで接近。海上保安庁の巡視船が侵入阻止規制を行った後、接続水域から離れた。同3隻は21日にも日本領海を侵犯している。

 台湾の「全家福」号は24日午前1時45分(日本時間同2時45分)ごろ、台湾北部の深澳漁港を出港し、台湾漁民が信仰する媽祖(まそ)像を尖閣諸島に奉納して台湾の漁業権益を示す目的で台湾の海上巡視船4隻に伴走される形で尖閣諸島沖に向けて航行。同午前11時5分時点で尖閣諸島・魚釣島の西南西44キロの接続水域に到達して日本の海上保安庁の巡視船が侵入しないよう警告した。

 台湾の海岸巡防署(海上保安庁に相当)によると、台湾漁船が接続水域に入った後、中国監視船が接近した際、中国船に「釣魚台(尖閣諸島)は中華民国の領土」とLED電光掲示板や音声で呼びかけ、即時退去を通告した。

 台湾は尖閣諸島を台湾宜蘭県の領土と主張しており、中国との立場の違いから表向きは“共闘”の動きを神経質なほど否定している。

 中国政府はここ数年来、反日運動が反政府暴動に発展することを憂慮し、国内での民間反日団体、保釣(尖閣防衛)活動に強い圧力を加え、漁船での尖閣諸島上陸計画を事前にことごとく阻止し、規制してきた。しかし、昨年、日本が尖閣諸島を国有化して以降、強行姿勢に転換している。

 香港の活動家については香港当局と連携しながら尖閣諸島への出航許可の是非についても「強い関与がある」(香港の民間団体「保釣(釣魚島防衛)行動委員会」)ため、香港と台湾の活動家が密接に連携している現状では間接誘導していると見られても仕方ない状況だ。

 今回、接続水域に入った台湾漁船には游明川船長や台湾の活動家4人、インドネシア籍の船員1人、記者1人を含む計7人が乗船。乗船した台湾の活動家4人は謝夢麟中華保釣協会理事長、黄錫麟世界華人保釣連盟会長、游嘉文氏、許登魁氏。尖閣諸島の台湾領有を主張するため、青天白日旗(中華民国旗)を持って台湾の領海であることを訴えた。

 今回の台湾船航行の中心人物は台湾籍の黄錫麟氏だ。同氏は2011年1月、尖閣諸島の領有権を主張する中国や香港、台湾などの華人系団体で作る「世界華人保釣連盟」(本部・香港)を設立。昨年7月、漁船「全家福」号で出港し、台湾海巡署管轄の巡視船五艘に保護されながら尖閣諸島海域へ近づき、同4日、日本領海を侵犯。

 日本の海上保安庁の巡視船に排除されたが、この際、中華民国の国旗(青天白日滿地紅旗)ではなく、中国旗である五星紅旗を掲げていたことや寄付金の大半が人民元であることから背後に中国政府の隠然たる演出があるとの見方が根強い。

 香港の実業家、鄒錫昌氏は世界華人保釣連盟の創設大会で漁船「全家福」号を購入する資金の一部として100万香港ドル(1香港ドル=12円)を寄付。一部の企業家がスポンサーになっていることで活動資金が維持されている。

 その後、昨年9月には台湾漁船約40隻と台湾巡視船8隻が同諸島の日本領海内に侵入している。

 中国外務省の洪磊報道官24日の記者会見で「釣魚島(尖閣諸島の中国名)に関する中国の立場は一貫している。事態の発展に注目している」と語った。同事件の翌25日、訪中している公明党の山口那津男代表が習近平総書記と北京で約1時間会談し、尖閣問題について習氏は「立場の違いがあるが、対話と協議により解決する努力が必要だ」と述べ、今後、両国間のハイレベル協議に期待を示している。

 今回の問題は尖閣諸島周辺の漁業権をめぐる日台漁業協議再開に向けた準備交渉に影響を与えそうだ。日本側は尖閣周辺での台湾漁船の取り締まりを緩和したことで台湾側は大きな影響を受けないと見る向きもあるが、馬英九政権は漁業権より領土主権に主眼を置いて中国側の動向を見ながら対日交渉を進めている。

 台湾外交部(外務省)の蘇啓誠アジア太平洋局長は24日、「日本側は漁業協議の第二次予備会議(今月末から2月予定)に影響し、延期になる可能性があることを示唆しているが、今回の出来事が協定交渉に影響を与えることを望んでいない」と述べたが、延期は回避できそうになく、同問題は今後の日台関係にも暗い影を落としそうだ。