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2009年5月15日記 最新中国株情報 WINTRADE


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環境万博でも飲料水問題の壁 上海万博まで1年
着工遅れる海外パビリオン 金融危機の影響強く

黄浦江の浄水、技術的限界も


 来年5月1日から半年間にわたって開催される上海国際博覧会(上海万博)まで1年を切った。北京五輪が環境五輪の観点から大気汚染など環境保護の問題点を海外メディアが厳しく指摘したように上海万博では工場排水による河川汚濁が水道水に悪影響を与える問題点が浮き彫りになることは避けて通れない。金融危機の煽りで海外パビリオン建設が遅れているばかりでなく、急速な経済成長と地元の環境保護の矛盾点が交錯する万博となりそうだ。(深川耕治、写真も=09年5月15日記)

建設が急ピッチで進む上海万博の会場。中国や日本のパビリオン建設は順調だが、米国館などの海外パビリオン建設は着工が遅れている=深川耕治撮影
 万博開催まで1年となる5月1日、北京の天安門広場では開幕まで1年のカウントダウン時計序幕式が開かれ、呉邦国全国人民代表大会常務委員長が「準備作業が順調に進んでいることを喜ばしく思う。調和の取れた幸せな明日を築くための知恵と力を結集しよう」とあいさつ。上海市のテレビ塔「東方明珠塔」広場でも記念式典が行われ、地元は祭典ムードを高めている。

 上海テレビでは5月1日、リポーターが万博会場上空をヘリで旋回しながら建設状況を紹介。中国館や万博センターなど主催国としての施設建設が順調であることを強調した。しかし、米国館など海外の出展予定のパビリオン建設着工が遅れていることは一切報じていない。

上海の魯迅公園にある上海万博のマスコット「海宝」=深川耕治撮影
 上海紙「新聞晨報」の報道ではパビリオンを独自建設する約40カ国で着工しているのは12カ国、16の企業館のうち施工したのはスイス館や石油館、航空館の3館にすぎない。とくに米国館は頓挫する可能性が出ている。米国の場合、万博への出展は民間の寄付金などで参加し、政府は関与しない立場。各企業の寄せ集め的な米国館に宣伝メリットを見出せない企業は出展に消極的で、金融危機の影響から資金が集まらず、米国館自体の着工が五月初旬の段階でも決まらず、開幕に間に合わない事実上の取りやめになる可能性が高まっている。

 一方で、香港を代表する財閥、長江実業グループ創設者の李嘉誠氏は中国館建設のために1億元(約13億円)を寄付するなど、親中派財界人による愛国行為を顕示する場にもなっている。

 5月11日、復旦大学で開幕した上海フォーラムで韓正上海市長は「世界的な金融危機が蔓延する中、上海万博は世界経済を牽引する重要な契機を推進できる。各国が共同研究や協力強化を行うための最良のプラットホームになる」と暗に海外パビリオンの建設が遅れていることについても着工開始の協力強化を呼びかけた形だ。

上海万博建設現場の入り口=深川耕治撮影
 上海万博で重い課題は水問題だ。人口密度が高い上海は周辺に集中する工場からの排水やゴミ処理をめぐる地表水の汚染は水道水の悪化をもたらした。水郷が広がる江南地方(浙江省、江蘇省、安徽省)の網の目のようになったクリーク(水路)から河川が長江デルタ東端に集まり、東シナ海に流れ出る上海の「母なる川」である黄浦江に行き着く。

 この河川流域は工場排水による水質汚染が深刻化し、数年前まで真夏の黄浦江や蘇州河の臭いは鼻につくほどだった。黄浦江上流にあたる太湖で昨年5月下旬、水質汚染によるアオコが大量発生し、太湖を水源とする無錫市の水道水が異臭で飲めなくなる騒ぎが起こるほど深刻化したほどだ。

 「上海の一般市民は水道水をそのまま使う。飲料用は沸かし、水洗いはそのままで、水の健康に対する影響には無頓着」と上海人の孫麗さんは話す。上海駐在の日本人の場合は、必ずといっていいほど浄水器をつけ、飲料水は業者からボトル式の有料の水を購入している。外国人宿泊用のホテルはホテル自体に浄水設備があり、一般市民の水道水とは天地の差で水質問題の深刻さは気づかない。

上海の「母なる川」である揚子江の支流、黄浦江の夜景をクルーズ船で眺める中国人観光客ら=深川耕治撮影
 上海市の水域面積は市総面積の11%以上を占め、江南地方の河川から流れ出る工場排水による水質汚濁が黄浦江の水質に直結している。

 2008年度の上海市環境状況公報によると、2007年の黄浦江の水質状況は06年よりも若干好転しているが、六カ所の観測地点で好転したのは3カ所、変化がないのは2カ所、悪化したのは1カ所。水質全体は前年と変わらず、シアン化合物、揮発フェノール、過マンガン酸カリなどが基準値を超えており、大きな改善が見られる状況ではない。

 黄浦江流域では水面を短期間に覆い尽くす驚異的繁殖力で漁業などに支障を来す「青い悪魔」とも呼ばれるホテイアオイ(中国語で水葫芦)の繁茂問題に直面しており、市では河川の黒ずみ、悪臭解消計画をたてて着実な効果的改善を推進しているが、公害技術先進国である日本などの浄水技術を積極導入しない限り、河川の水質汚染を早期改善する道は険しいのが実情だ。

【上海万博】 2010年5月1日〜10月31日に開催される中国初の万国博覧会でテーマは環境問題を意識した「より良い都市、より良い生活(Better City, Better Life)」。会場総面積528ヘクタール、予算総額は愛知万博(2005年)の2倍超となる286億元(約3713億円)で史上最大規模となる。入場者数も7000万人を見込み、過去最多の大阪万博(1970年)の6422万人を上回る。マスコットキャラクターは「四海之宝(世界の宝)」を意味する「海宝(ハイバオ)」で台湾のデザイナー・巫永堅の作品が採用された。185カ国を含む234の国・組織が参加予定で、日本からは「日本館(愛称・紫蚕島=日本語の通称・かいこじま)」と「日本産業館」のパビリオン出展、大阪府と大阪市による地方自治体による出展が準備されている。チケットは平日で大人160元(約2300円)。



 




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