中国企画記事 特選
2004年6月18日記

今夏、渇水対策に悩む上海
実は工場廃水で汚水深刻化
国内36都市が水質汚濁で渇水に
 人口一千六百万人を超える中国・上海市では今夏、水不足による渇水対策が深刻化しそうだ。渇水の原因は降水量の低下もあるが、上海市を流れる黄浦江(写真)の水質が工場廃水などの影響で悪化、飲料水に浄化するだけの河川の水量が少なくなっていることが最大要因だ。(2004年6月18日記、深川耕治、写真も)

 上海市水務局は六月に入り、市民に対して「今夏の高温期間、市内で一日当たり百五十万gの飲料水が不足する」と節水を呼びかけた。一日当たり百五十万立方bの飲料水とは香港で一日当たり使用する水量の約半分に相当する。

 上海市の主要水源となっているのは黄浦江。黄浦江の水質がここ数年、上流部分に点在する石油化学工業系の工場や冶金、化学繊維関係の工場の廃水によって悪化の一途をたどり、同河川水のわずか四分の一しか飲料水への浄化ができない深刻な事態に直面している。

 地方から上海に集まる者たちにとって上海の水は「元から漂白剤の味がする」との評価。水質が悪いとの悪評は主要水源である黄浦江の約八割を占める水源地、江蘇省と浙江省一帯の工場廃水による水質汚濁に原因がある。とくに無錫市周辺の太湖沿岸に大量の廃水を出す工場が急速に拡大したことが大きい。水質は国が定める安全基準をはるかに超える汚染物含有量となっており、汚濁は危機的状況が続く。

 黄浦江沿岸の工業地帯や住宅地区では一日当たり六十万立方bの汚水が黄浦江に垂れ流されており、流水する同河川水の約二割を占めている。上海の青年ボランティア組織「保護母親河行動」は事態を深刻と受け止め、河面の漂流物などをすくい上げるなど、一日当たりで川面からすくい上げたゴミの量は約十dにも及ぶ。

 上海市の張嘉毅水務局長は「上海の水道水は国家が定める飲料水源の標準的な水質には全体量のわずか一%しか合格しない。約七割の水源の水質は飲料水としては決して使えないレベルだ」と憂慮し、「上海は水があっても水質の良い水ではなく、典型的な水質汚濁による渇水都市だ」と断じている。

 上海には現在、大きく分けて二カ所の水源地があり、合わせて一日当たり七百八十万立方bの水が供給されている。だが、同市では一日当たり一千七十万立方b分の水需要が求められており、一日当たり二百九十万立方b分の節水が必要な状況だ。

 国連が発表した「全世界の未来六大渇水都市」は上海、エジプトのカイロ、ナイジェリアのラゴス、バングラデシュの首都ダッカ、ブラジルのサンパウロ、メキシコの首都メキシコシティの六都市だ。いずれの都市も人口密度が高く、水質汚染が深刻化していることで共通している。

 中国内では六百六十の都市のうち水不足に直面しているのが四百あり、水質汚濁型の水不足に悩んでいるのは三十六都市。上海以外では武漢、南京、「江南の水郷」と呼ばれる無錫や蘇州も含まれている。
(2004年6月18日記)