中国企画記事 特選

2007年7月10日記


太湖、巣湖のカニ養殖禁止へ 中国
湖の汚染深刻、食の安全危機に


 中国では経済成長最優先の地方政府が工場廃水の垂れ流しを放置した結果、淡水湖が次々と汚濁・絶滅化し、環境破壊が深刻だ。アオコの大量発生などを受け、江蘇省にある中国第三の淡水湖・太湖、安徽省中部にある中国第五の淡水湖・巣湖、かつて「高原の真珠」と呼ばれた雲南省●池(てんち)では来年末で巻き網養殖が全面禁止となり、地元漁業に大打撃となっている。(深川耕治)


 巻き網養殖の全面禁止措置は中国国家環境保護総局が水質汚染被害が食を通して人の健康を脅かすことへの措置だ。巻き網養殖禁止は太湖の漁業関係者にとっては大打撃。国内だけでなく、香港や日本など輸出向けの上海ガニを大量養殖してきた地元業者は生活の糧さえ奪われる深刻な事態となっている。

 太湖周辺の上海ガニの収穫量は年間約二千トン。大部分は香港に輸出される。今回の措置で上海ガニの養殖面積は三分の二削減縮小することとなり、取り締まりが強化される。今秋から来年にかけて上海ガニ価格は香港で急騰することも予想されている。

 中国内の河川、湖、沿海の水質汚濁は改革開放路線が本格化した一九八〇年代後半から九〇年代にかけて長江、黄河など四大水系の流域に規定値をはるかに上回る工場廃水を垂れ流す工場が集中して進出したことが要因だ。地方政府は経済成長最優先のため、企業を保護。企業収益が上がるが、地元の自然環境破壊、汚染物質による公害被害が拡大して地元住民の健康や食の安全に脅威となり、中央政府にツケが回る悪循環が続いた。

 二〇〇五年の松花江汚染事故以降、深刻な水質汚染が次々と発覚し、今年に入って太湖、巣湖、●池でアオコが大量発生。太湖では江蘇省無錫市など周辺都市で飲料水が飲めない騒ぎが起きて温家宝首相が現地視察して住民に謝罪するなど中国政府は環境汚染問題に危機感を強めている。

 中国国家環境保護総局は七月以降、深刻な水質汚染を起こしている地方政府では汚水処理の改善、汚染企業に対する処分などの対策を講じるまで、地域内での建設プロジェクトの環境影響評価(アセスメント)を実施しない厳しい強制措置を発動。河川や湖についても汚染の深刻化を防ぐため、悪質な企業の操業停止や閉鎖などの処分を強めている。さらに食の安全にも配慮し、湖や河川の水質改善が見られるまで養殖などを禁ずる通達を出した。

 雲南省の●池や巣湖もアオコの大量発生で水質汚濁が深刻化していることに地元政府は改善措置に乗り出しているが、十年がかりのプロジェクトでも効果が上がらず、水質汚染の代償はあまりにも大きい。
●=サンズイに真