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2008年3月20日記 最新中国株情報 WINTRADE


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台湾軍、5年内で6万人削減へ
徴兵制も廃止、志願制で精鋭化
米中覇権争いに埋没の懸念
米国武器供与依存増す


 台湾国防部(国防省)は3月16日、中台間の軍事緊張が緩和しているとして2014年末までに徴兵制を廃止して兵員を6万人(22%)削減し、米国からの兵器調達による装備ハイテク化と兵員の精鋭化を推進することで対中防衛能力を維持する国防計画見直し指針を発表した。国防費が21年連続2ケタの伸びを続ける中国に対して「台湾への武力侵攻を放棄していない」との警戒感は変わらず、対中軍事交流には慎重姿勢のままだが、米中覇権争いの陰に埋没する懸念が出ている。(深川耕治、写真も=09年3月20日記)


対中軍事交流、慎重姿勢強く
米から次世代戦闘機導入も

福建省アモイ郊外の大嶝島にある英雄三島戦地観光園。「一衣帯水」「一国両制(一国二制度)」のスローガンが書かれている=深川耕治撮影
 今回の国防計画の見直しは、中台の経済交流活発化に伴う軍事緊張の緩和が大きく影響している。台湾は馬英九政権樹立後、与党・国民党主導で三通(中台間の通信、通商、通航の直接往来)解禁への動きを本格化し、国民党と中国共産党の交流も深まり、「第2の国共合作」に近い人とモノの交流の中で台湾の置かれる国際空間が徐々に変質していることを国防上も示そうとしているものだ。

 台湾国防部は米国が4年ごとに発表する国防計画見直し(QDR)の台湾版に相当する今回の「四年期国防総検討」で、中国が配備する推定1300基超の台湾向けミサイルに対抗するため米国から最新鋭の兵器や戦闘機を調達して台湾軍の効率化と精鋭スリム化を図るとしている。QDRは4年に1度、立法院(国会)に提出する防衛改革方針で、馬英九政権下では初めて打ち出された。米国武器供与依存を増した軽武装化とも見られかねない側面があるため、域内総生産(GDP)の3%以上を防衛予算に充てる従来方針は踏襲している。
福建省アモイのコロンス島前を通過する中国海軍の艦艇=深川耕治撮影

 国防見直しの目玉は2011年に徴兵制を廃止させることと米国からの武器供与を増して精鋭スリム化させることにある。中台間の緊張緩和を受け、2014年末までに兵力を現行の27万5000人から21万5000人に削減。19歳以上の全男性を対象とした徴兵制を段階的に廃止し、全兵士を志願兵にする。

 台湾の徴兵制は1949年の中台分断後、中国の軍事力に対抗するために設けられ、1999年までは18歳以上の男子に2年間の兵役が義務づけられていた。しかし、日本以上に深刻な少子化や兵役逃れ問題が顕在化し、徐々に短縮。現在、18歳以上の男性を対象に1年間の兵役を義務づけている。徴兵制については台湾の青少年にとっては自身の将来設計や結婚とも深く関わる問題だっただけに本音では国防より生活向上を優先したい若年層からの馬英九政権支持増大を狙ったものと見られる。

福建省アモイからの小金門島クルーズで小金門島の目の前で記念撮影する中国人観光客たち=深川耕治撮影
 兵力削減は兵力45万2000人だった1997年から進められ、今回の計画でほぼ半減する。徴兵制から志願制への移行は軍の効率化と精鋭化の一環だ。徴兵制撤廃に関しては昨年、中台融和を掲げる国民党の馬英九政権が発足することで一気に加速した形となった。

 徴兵制が撤廃されても、4カ月間の軍事教練は全員に義務づけられており、中国の軍事脅威に対しては同方針で「台湾への武力行使を放棄しておらず、軍事的な対峙(たいじ)状況は続いている」と言及。「偵察衛星や弾道ミサイルを積極的に開発しており、防衛上の重大な脅威」と指摘し、軍事ホットラインの早期設置も求めている。中国の温家宝首相が呼びかけた軍事面での信頼醸成措置の確立に対しては「機が熟したときに推し進める」と慎重姿勢を貫いている。

 台湾の陳肇敏国防部長は3月15日、「大陸(中国)は台湾に向けたミサイルを撤去して武力侵攻を放棄しなければ両岸(中台)の相互信頼システムは口先だけの言葉遊びに過ぎない」と中国軍の動向を批判。対抗するには米国からの武器供与で軍事バランスを保つしかないとの立場だ。台湾側は「老朽化したF5戦闘機は34年を経てメインテナンス部品の購入も困難。このままでは台湾軍の制空能力は劣るばかり」(ワシントンの台北経済文化代表処スタッフ)で中国空軍に対抗する防衛のために米国へF16戦闘機の購入を打診しているが、米国側は了承していない。次世代戦闘機導入を目指す台湾空軍としては「(米国供与の)F22、F35、あるいは(NATOの主力戦闘機である)トーネードになるだろう」(空軍報道官)としており、米国依存一辺倒ではないスタンスも垣間見せる。

国防の軍事演習前に演説する馬英九台湾総統
 しかし、実際は武器供与の米国依存傾斜は着実に進む。昨年10月、米国のブッシュ大統領(当時)は総額64億ドルに上る台湾向け兵器売買を批准。今月に入り、米国防総省は「米航空・宇宙機器大手のロッキード・マーチン社が台湾保有の哨戒機P3Cのうち12機を最新機器へグレードアップする契約を結んだ」と発表、改修されたP3Cは2012年〜2015年にかけて台湾で再配備される。さらに1992年、台湾へF16A/B型戦闘機150機を売却したのに続き、F16C/D型戦闘機のアップグレード購入を検討して米国の武器供与依存を増している。

 野党民進党の蔡英文主席は、昨年末に実現した三通など中台間の経済関係改善を急速に進める馬英九政権について「時間が経過すればするほど経済だけでなく社会的な質的変化を及ぼす。与党はこの変化に対応する準備をしていない」と批判している。

 与党・国民党が「一つの中国」原則下で両岸包括的経済協力協定(CECA)や両岸経済協力枠組協定(ECFA)などの中台経済協力協議を締結しようとする動きについても、民進党の世論調査結果では80.2%が「反対」、「受け入れられる」は13.3%に過ぎず、慎重論がくすぶっている。

 国防指針についても米国がオバマ新政権発足後、中国の圧力が強まる中、米国からの武器供与が順調に進むかどうかは不透明で、徴兵制の廃止に代わる量から質への精鋭化が米国依存以外にさらに明確化しない限り、再び軍事緊張が発生した場合、対応能力を問われることになりそうだ。


 




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