台湾関連情報

2011年5月14日記


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与野党が序盤から拮抗 来年1月の台湾総統選
中間・若年で優位 蔡民進党主席
女性・中年が支持 馬国民党主席


 来年1月に投開票される台湾総統選挙に向け、先月27日、最大野党・民進党は総統候補として蔡英文党主席(54)を正式決定し、与党・国民党も党主席を兼務する馬英九総統(60)を総統候補に決定して選挙戦がいよいよ本格開始した。各種世論調査では2人の支持率は拮抗し、互角の接戦が予想されるが、与党有利の選挙環境下、女性の支持率が高い馬総統に対し、台湾初の女性総統を目指す蔡氏が政権奪還に挑むには女性からの支持低迷がネックになっている。(深川耕治=2011年5月14日記)

与党優位の環境どう打開
対中融和、台湾優先が鍵に


馬英九
2012年1月の台湾総統選で再選を目指す馬英九国民党主席
 1996年から開始された台湾総統選は4年ごとに3月投開票が恒例化していたが、台湾の中央選挙委員会は4月19日、「選挙過多が批判を浴びる中、同日選への世論支持もあり、コスト重複を避け、選挙経費が節約できる」との理由で来年の立法委員(国会議員)選挙と総統選挙を来年1月に同日実施するよう決定した。

 同日選の場合、地方組織が堅固で資金力も豊富な与党・国民党が地方組織力で劣る民進党より有利との見方が強い。とくに立法委員選挙は細かい区割りで小選挙区と比例区があり、立法委員選で細かい地方区割りごとに組織力をフル稼働する与党・国民党としては、総統選でも票を着実に増やし、固定票の漏れを防ぐ戦略を取ることができる。とくに対中融和の経済政策を歓迎する中国大陸で働く台湾の有権者約100万人は約7割が与党支持で、正月帰省時に当時投票できるメリットは与党優位の選挙環境となっている。

政権奪還を目指す最大野党・民進党は、25、26の両日、総統候補決定のために世論調査会社5社による計1万5千人対象の調査を行い、蔡氏の支持が蘇貞昌元行政院長(63)をわずかに約1ポイントの僅差でリードし、許信良元党主席(69)を大きく上回り、27日、蔡氏が総統候補に決まった。

 米国や英国に留学し、国際経済法が専門の蔡氏は、李登輝元総統が1999年に提起して中国の猛反発を招いた中台間を特殊な国と国の関係と見なす「二国論」を起草したグループの一員。前回の総統選挙で民進党が国民党のホープだった馬氏に敗れて下野した直後の08年5月、党主席に就任し、党勢を着実に立て直してきた。

 初の女性総統候補となる蔡氏は09年の立法委員補欠選挙や五大都市首長選などで善戦して国民党に苦杯を飲ませており、27日の記者会見では「台湾の未来のために団結して政権を奪回しよう」と意気込んだ。

蔡英文
2012年1月の台湾総統選で政権奪還を目指す最大野党・民進党の蔡英文党主席
 対中政策では台湾の主権優先を軸に安定した平和的な関係維持を主張し、中国とは一定の距離を置く立場。過去の中台間の取り決めにはとらわれないとの新たな立場も打ち出し、国民党の中国傾斜とは違う対中路線がどこまで無党派中間層を取り込めるか、勝敗を決するポイントとなりそうだ。民進党は「台湾独立」を綱領に明記しているため、国民党とは違う対中路線に大きく転じれば中国との関係悪化も回避できない。

 一方、与党・国民党も一週間前倒しして27日に開いた中央常務委員会で馬総統を総統公認候補に機関決定。馬総統は「民進党時代のような腐敗政権に逆戻りはさせない。改革を更に推進する」と再選へ対決姿勢を鮮明にした。

 08年5月の総統就任以来、馬氏は台湾の経済回復を目指し、中国との関係改善を進め、中国との直行便を増やして中国人観光客を呼び込み、昨年夏には、台湾・中国の新共同市場となる経済協力枠組み協定(ECFA)を締結。対中貿易に支えられた好調な経済で安定感はあるが、急速な対中傾斜に民衆から懸念が上がり、09年8月の大水害の対応の遅れで指導力が問われ、支持率が低迷している。

 台湾民意学会の世論調査(5月6、7日)によると、男性有権者の支持率は馬氏が41.1%で蔡氏は42.9%。女性の支持率は馬氏47.3%で蔡氏は33.7%。馬総統は女性に依然として根強い人気があり、蔡氏は女性からの支持が伸びず、20代の若年層からの支持が厚い(蔡氏50.9%、馬氏33.6%)反面、30代〜40代は馬総統支持が高いことが明らかになった。同調査での総合支持率は馬氏44.2%、蔡氏38.2%で馬総統がやや優勢だが、各種世論調査
(下表参照)では、ほぼ互角に競り合っている。

 米コーネル大学留学時代、恋人だった男性が急死して以来、独身を貫いてきたとされる蔡氏にとって才女ながら独身であることへの評価が女性票につながりにくく、党内からは同性愛の有権者約200万人の得票確保のために「同性愛への見方を明確にすべきだ」(施明徳元民進党主席)との苦言まで出ている。

 女性からの支持が伸び悩む蔡氏にとって副総統候補をだれに指名するかが重要になる。前回の総統選で馬氏が俳優顔負けの風貌で中間層の女性票を着実に獲得したように、副総統候補は民進党にとって政治手腕と共に女性有権者の心を鷲づかみにする魅力と家庭的雰囲気があるかどうかが勝敗の鍵を握ることになりそうだ。


【馬英九総統と蔡英文民進党主席の支持率調査】
調査メディア 聯合報 中国時報 TVBS 蘋果日報 遠見
  馬英九    36    33    43  29.38     38.9
  蔡英文    37    33    42  56.21     38.6
※数字は%、月刊誌「遠見」は5月9〜10日調査、以外は4月28日調査